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底地・借地権

「借地借家法を考える」③定期建物賃貸借等

1 はじめに

今回は、借地借家法で規定される「定期建物賃貸借等」について取り上げます。

「定期建物賃貸借」は、平成11年の借地借家法改正により導入された制度で、契約期間の満了により契約が終了となり建物の返還(明渡し)が容易になる制度として、前回取り上げた定期借地権等と同様、既にお馴染みの方が多いと思いますが、借地借家法では、「定期建物賃貸借」と類似の制度として、「取壊し予定の建物の賃貸借」、「一時使用目的の建物賃貸借」といったものもありますので、今回は、こられ賃貸借について整理していただければと思います。

 

2 定期建物賃貸借等

 ⑴ 定期建物賃貸借

「定期建物賃貸借」とは、一定の期間を定めて建物の賃貸借をする場合に、書面によって契約することを条件に、契約の更新がないことを定めた建物賃貸借契約をいいます。公正証書によることは、必須ではありません。同契約を締結する場合、賃貸人は、あらかじめ、賃借人に対し、当該賃貸借は契約の更新がなく期間の満了により終了する旨を記載した書面を交付して説明することも求められますが、当該書面は契約書とは別の書面によることが必要と考えられています。

なお、定期建物賃貸借の場合であっても、契約期間が1年以上である場合には、賃貸人は、期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、賃借人に対し、期間満了により契約が終了する旨を通知しなければならず、通知が遅れた場合には、通知日から6ヶ月間は契約の終了を賃借人に対抗できないものとされていますので、注意が必要です。

 

 ⑵ 取壊し予定の建物の賃貸借

「取壊し予定の建物の賃貸借」とは、法令や契約により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合に、建物を取り壊すことになる時期に賃貸借が終了する旨の特約を定めた建物賃貸借をいいます。

取壊し予定の建物の賃貸借も、定期建物賃貸借と同様、予定された一定の時期に契約を終了させることができますが、当該特約は、建物を取り壊すべき事由を記載した書面によることが必要となります。

 

 ⑶ 一時使用目的の建物賃貸借

「一時使用目的の建物賃貸借」とは、一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らかな建物賃貸借をいい、その場合、借地借家法の適用がなく、民法の規定が適用されることになります。一時使用目的の建物賃貸借を締結する場合、契約期間や書面によること等の条件は特に定められておらず、一時使用に該当するかどうかは、契約内容や契約手締結状況等の諸要素から総合的に判断されることになります。なお、従来の判例では、5年の期間を定めた建物賃貸借を一時使用と認めた例があります。

 

3 普通建物賃貸借から定期建物賃貸借への変更

普通建物賃貸借を定期建物賃貸借に変更することは、借地借家法の定める建物賃借人(借家権者)保護規定に反し、無効となるとされています。

これに対し、既存の普通建物賃貸借契約を合意解除して改めて定期建物賃貸借契約を締結することは、居住用建物賃貸借のうち平成11年の借地借家法改正の施行日(平成12年3月1日)以前に締結されたものについては認められませんが、同日以降締結された居住用建物賃貸借や居住用建物以外の賃貸借契約の場合には、認められるとされています。

このように、一定の場合には、普通建物賃貸借から定期建物賃貸借への変更も認められますが、建物賃借人(借家権者)に十分な説明なく合意解除がなされたような場合には、「錯誤」や「公序良俗違反」として合意解除が無効とされる可能性のあることは、前回取り上げた定期借地権等への変更の場合と同様で、注意が必要です。

 

(著者:弁護士 濱田)

 

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