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賃貸経営

コロナ禍における家賃保証会社

賃貸借契約における家賃保証会社の利用は、ほぼ一般的となり、2018年の統計では契約全体の75%にまで及んでいますが、本年4月の改正民法の施行によって、個人による連帯保証には極度額の提示が必要となった事から、家賃保証会社の利用は一層高まるであろうと思われていました。

 

そうした中での新型コロナによる大きな景況悪化問題です。家賃保証会社でも「新規申込の減少」と「既存契約者の家賃滞納」という大きな課題に直面しています。

店舗など事業用が主だったところですが、これからは失職や給与削減などの影響で、居住用入居者による滞納も増加が大いに危惧されるところで、心配されるのが家賃保証会社の倒産です。

 

 

 

そもそも家賃保証会社は毎月の家賃を①借主の銀行口座から振替で回収。残高不足で回収が出来なかったとしても管理会社又は貸主に立替払いを行う集金代行型 ②滞納が発生した場合に管理会社又は貸主から家賃保証会社に請求を行う代位弁済型、このどちらかで家賃保証を行います。

 

 

管理会社の実務軽減から、集金代行型を利用しているケースが殆どですが、回収金を信託口座に保全するスキームを利用していない保証会社の場合には、倒産と共に一部家賃が貸主に入金されない事態が起きます。又、入居者側への支払先変更の連絡や、以後の引受保証会社を探す手間、それに伴う新たな保証料の発生、引受保証会社が見つからなかった場合には、以後は管理会社又は貸主が滞納時の督促業務を行い、内容証明の発送から、最終的には訴訟費用までも負担する事態となる、大きなリスクが発生する事となるのです。

 

その他、家賃保証会社の保証範囲は、家賃だけに留まらず、更新料・早期解約違約金・解約予告違約金・退去時の原状回復費用負担金・残置物撤去費用、最近では、室内での死亡事故時にも対応する保証会社が増えてきました。

 

そうした広範な保証内容からも、その保証がなくなる事は、貸主にとっては、大きな経済的負担にもつながるのです。新型コロナの早期収束で、保証会社の健全な経営維持を望むところですが、リスク回避として家賃保証会社の選択が重要となります。

現在、小さな会社も含めると全国でおおよそ200社の家賃保証会社が存在しています。

2017年には国土交通省が「家賃債務保証業者登録制度」をスタートさせ、71社が登録していますが、登録=健全の確保とはならない事の証に、早くも登録業者1社がコロナの影響により廃業しました。

 

倒産リスクを軽減する為には、やはり「分散化」です。複数の貸室が存在する一棟の場合には、保証会社を部屋ごとに最低2社から3社に分ける。区分所有マンションや、戸建貸家等であれば、信販系や大手独立系の保証会社を選択する。大手といっても必ずしも安心とは言えませんが、企業規模が大きい程、今回のコロナ禍にも困窮している借主の側面からの支援を行っている等、細やかな対応が見受けられます。

 

空室リスクを少なくする意味でも生保受給者・高齢者等の「住宅確保要配慮者」の保証に積極的な保証会社であるかどうかも必要です。

尚、家賃保証会社の選択といっても、貸主が直接に保証会社を指名する場合は殆ど無く、管理会社や仲介会社が代理店をしている保証会社が自動的に契約されているのが実情かと思います。(一部の保証会社では貸主と直接契約を行っていますが)管理会社にとっても保証会社の選択は重要なので少なからず慎重になりますが、一般媒介を依頼している不動産会社がどの保証会社の代理店をしているのか、良く内容を確認してから募集の依頼をする事が大切です。今回のコロナ禍で、保証会社の淘汰は避けられないでしょうが、長い目で見てその必要性は一層高まると思われます。

 

(著者:片岡)

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