日本地主家主協会は、土地・建物賃貸人の方々のご要望に応え、昭和56年設立以来、地主・家主を主とする登録会員の方々に向けて公正で中立的なコンサルティング活動を続けております。
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地主家主協会:賃貸経営ニュース『和楽』


高齢や病気などで、判断能力が低下した方のために、ご本人に代わって契約行為をしたり、
誤って行ってしまった法律行為を取り消すなど、一定の権限が与えられた人(後見人)
を選任することによって、ご本人の財産や利益を守る「成年後見制度」。
今後も利用が増えると思われるこの制度について、協会顧問司法書士の大塚厚一先生にお話を伺います。
| 【対談者のご紹介】 |
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司法書士
大塚厚一
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昭和50年1月 司法書士事務所勤務
昭和55年10月 司法書士試験合格
昭和56年1月 武蔵野市吉祥寺で事務所開業
昭和62年3月 杉並区阿佐谷に事務所移転
現在に至る |
●法定後見と任意後見
| 岡 田 |
成年後見制度については、本紙でも過去2回対談で取り上げており、年々利用件数が増加しております。 |
| 大 塚 |
制度ができて12年経ち利用件数は平成22年は3万件を超え、多くの方の関心が高まっているものの、法定後見と任意後見の違いについて誤解されている方が時々見られます。また、後見人に財産を騙し取られるのではないか、など猜疑心をお持ちの方もいらっしゃいますが、後見人の不正防止のために監督人がついている点など、この機会にきちんとご理解頂きたいと思います。まず、成年後見制度には@法定後見制度とA任意後見制度の2種類あります。@の法定後見は、既に判断能力が不十分な状態である人を保護・支援するものです。Aの任意後見は、将来の判断能力の低下に備え、ご本人があらかじめ後見人を決めておく制度です。ご本人と後見人になる方との契約であり、公証人が作成する公正証書によって成立します。公正証書の作成に2万円程度の費用がかかります。(オプション契約があった場合には1件につき1万1千円程度加算になります。)この段階ではまだ後見は開始していません。契約後、ご本人の意思能力が低下した時に、親族・引き受けた人または本人が「後見監督人」を家庭裁判所に申立て、後見監督人が決まった時点で後見が発生するのです。この申立て及び法定成年後見には双方とも医師(主治医)の診断書が必要となり、これに対し裁判所が、成年後見が必要か、それとも保佐、補助が必要かを判断します。尚、この診断書は裁判所の様式に従ったものでないといけません。裁判所が聞きたい内容が列挙されているものでないと、裁判所の方で別途鑑定医を派遣することになります。通常3ヶ月位で審判が下りるところその分遅くなりますし、その場合は10万円強の費用が別途かかりますのでご注意下さい。これらの申立てについては、司法書士等に依頼することもできますが、ご本人、もしくは親族が行うケースが多いと思います。一般人に対して、裁判所は懇切丁寧に教えてくれますので、全くご存じない方でも問題ないと思います。 |
●後見人の仕事と報酬
| 大 塚 |
@の法定後見は裁判所が選びますが、申立時の候補者で、親族・知人が58%、我々司法書士等などの法律の専門職が42%です。Aの任意後見ではご本人がこの人にやって欲しいと選べますので、親族・知人でも可能です。現状は、任意後見人の内容は非常に細かく煩雑であり、職務限定の方法もありますので、専門職が受けるケースが過半を占めています。 |
| 岡 田 |
後見人の仕事というと、具体的にどのようなことをされるのでしょうか。 |
| 大 塚 |
仕事内容は、後見・保佐・補助によって異なりますが、通帳・年金証書・実印などの預かり・財産目録の作成、金融機関や役所への成年後見届提出、債務の支払い・契約の取り消しなどのほか、ご本人の身上に関する契約(介護サービス契約や施設入所契約、診療契約など)や不動産の売却・賃貸借契約の締結及び解除などです。日常品の買い出しを除いて、ご本人が行う行為を代わって行うわけですから、大変幅広く重要な任務です。 |
| 岡 田 |
後見人は印鑑も預かるわけですから、きちんと管理して頂かないといけませんよね。ご本人が認知症などになってからでは、後見人が不正行為を犯した場合、誰も気付かないのではないでしょうか。 |
| 大 塚 |
そのために、後見人には必ず監督がつきます。法定後見であれば裁判所が、任意後見であれば裁判所が選任した弁護士・司法書士などの後見監督人が必ずつき、後見人の行為に不正がないか、必要なものであるかなどを判断します。最も考えられるのが財産の使い込みですが、お金の出し入れと、監督人が置かれた場合にはその同意が必要ですし、財産についても報告義務があります。私がお引き受けする場合は、ご本人のいる病院や施設へは月に1回程度伺っていますが、その際の交通費などは実費相当分を申請し頂きます。非常に細かい報告が課されていますので、後見人の不正も以前はありましたが、最近、あまり聞くことはありませんね。 |
| 岡 田 |
きちんとした体制で行われる制度だからこそ、利用者も増えているのかもしれませんね。後見人の仕事内容は分かりましたが、利用者は後見人にいくら払えばよいのでしょうか。 |
| 大 塚 |
実は、後見人の報酬付与には規定はありません。我々司法書士の場合は、月額3万円程度が相場かと思います。本人の経済状態にも関係してきますが、上記金額で裁判所の許可が却下されたケースは聞いておりません。任意後見であれば、健康な時にご自分のお考えや希望を契約内容に盛り込むこともできます。例えば、財産管理や見守り、死後の事務委任契約等です。任意後見というのは、ご本人の意志をできるだけ尊重した契約なのです。死後の遺言と同様、生前の任意成年後見の需要は増えていくと思います。 |
●後見の開始と終了
| 岡 田 |
任意後見はいつから開始になりますか。また、一度後見人を引き受けたら、やめることはできないのでしょうか。 |
| 大 塚 |
任意後見は、公証人がその登記の嘱託をなし、その後本人の判断能力が失われ、親族等の申し立てにより、後見・保佐・補助が決定され、且つ後見監督人が選任されると後見開始となります。また、ご本人が亡くなった時に成年後見も終了となりますが、実際は葬儀の手配、財産整理と相続人への引渡しまで行うこともあるようです。また、裁判所の許可がなければ、途中で辞任することはできません。後見人の方は心構えを持って引き受けなければいけません。 |
| 岡 田 |
後見を受けている途中でご本人の財産が無くなり、報酬を払えなくなったらどうなるのでしょうか。 |
| 大 塚 |
成年後見制度自体、ある程度資産のある方の保全をする制度ですから、後見人として引き受ける際も、ご本人の資産状況を確認する必要があります。最終的には生活保護となる場合もありますね。尚、後見人は不動産の売却もできるのですが、居住用の物件だけは別途、裁判所の許可が必要になります。私見ですが、本人がそこに戻って再び住む可能性があるというのが理由でしょうね。もちろん、売却価格は時価相場での適正価格でなければいけないと思います。 |
| 岡 田 |
一般人や法人でもボランティアで後見人になれると聞きました。 |
| 大 塚 |
欠格事由がなければ、法定後見の候補者及び任意後見の契約者に問題なく審判が下りると思います。裁判所で開いている講習を受講する必要がありますが、後見人にしろ監督人にしろ、裁判所が許可して初めて効力を有します。しかし、我々専門職も自然人ですから、いつ死亡するか、認知症になるかわかりません。法人であれば担当者が亡くなっても承継されますので、貴協会には積極的に受任して頂きたいと思います。 |

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