これからの相続・遺産分割~第10回「実態調査の分析」
早いもので、このテーマでの連載は、今回で最後となります。
本連載では、相続登記の義務化を中心に、遺産分割についての改正点などについて説明してきましたが、果たして、国民一般がこれらの制度についてどこまで認知しているのかは興味のあるところです。
この点、法務省が令和6年12月に公表した「相続登記の義務化等に関する認知度等調査」の調査結果の概要が参考となるので、その調査結果を私なりに分析してきたいと思います。
【相続登記義務化】
まず、相続登記の義務化を「聞いたことがある」とする人は、約73%にのぼり、国民への周知が進んできている印象があります。また、「聞いたことがある」と答えた人は、70代以上が一番多く、逆に、「聞いたことがない」と答えた人は40代が最も多いという結果になっています。とはいうものの、50代以上になると、「聞いたことがある」という人が明らかに増えています。50代になると、親の世代の相続に関心が出てくるのでしょう。
【相続登記の履行期限・ペナルティ】
相続登記の期限は、相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内であることを「聞いたことがある」と答えた人は、約43%でした。また、正当な理由がないのに相続登記の義務に違反した場合には、過料(ペナルティ)の対象となることを「聞いたこと上がる」と答えた人は、約45%でした。相続登記が義務化されたことは聞いたことがあるが、その具体的内容についてはまだ周知が進んでいないのかなと感じます。
【住所等変更登記の義務化・ペナルティ】
住所等変更登記の義務化を「聞いたことがある」と答えた人は、約31%でした。また、正当な理由がないのに住所等変更登記の義務に違反した場合には、過料(ペナルティ)んの対象となることを「聞いたことがある」と答えた人は、約23%でした。相続登記の義務化についての数字と比較すると寂しい限りですが、当該調査が令和6年9月に行われたこと及び施行が令和8年4月と調査時点で少し先であったことを考慮すると、現時点では周知が進んでいるものと思います。
【新制度への関心・司法書士の関与】
相続登記の義務化等、不動産の登記手続に関する制度が大きく変わることにどの程度関心がありますかという質問に関し、「大いに関心がある」「少しは関心がある」と答えた人は、約52%でした。司法書士としては、もう少し関心を持って頂きたいところですが、それ相応の数字だと感じます。この点については、司法書士が登記の専門家として、自治体・法務局・他士業等と協働して、国民への周知を進めていきたいと考えています。
なお、今後は新しいテーマでの連載を予定していますので、引き続き宜しくお願いします。
(著者:司法書士 大谷)


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