境界トラブルになる前に!隣地からの越境物の対処法
越境物に関する覚書の必要性
所有地内に隣地からの越境物がある場合、そのまま放置しておくと思わぬトラブルが発生しかねません。
越境の覚書は土地の境界や所有権について、隣地所有者とのトラブルを未然に防ぐために取り交わす必要があるのです。
民法第162条によれば、取得時効を援用されてしまうと越境部分の土地の所有権を取られてしまうかもしれないのです。また、敷地内の現状の越境物に対して、隣地所有者へ直ちに撤去を求めることもトラブルに発展するかもしれません。
従って、敷地利用への影響が少なく、越境物の撤去に大掛かりな工事と費用を要する場合などは、撤去を求めるのではなく、覚書を締結する方が円滑に進むと考えられます。
越境物の覚書を締結することにより、越境の事実をお互いが認識して、越境部分の所有者や今後の撤去の方法などについて合意を得たことを証明するものとなります。
このように、覚書を取り交わすことは、隣地所有者とのトラブルを防ぐとともに、所有権の取得時効を中断させる効果もあります。
越境物の覚書に記載する内容
越境物の覚書には、越境物があることの事実、将来の撤去方法などを明記する必要があります。ここでは、覚書に最低限記載する内容について説明します。
①越境の事実確認
土地所有者と隣地所有者の双方が、敷地境界線を越えた越境物が存在する事実を確認していることを記載します。この際、越境物の内容(塀や引込線など)や越境箇所などを具体的に記載する必要があります。どのように越境しているかを把握しやすいように、確認図を覚書の別紙として添付するのも良いでしょう。
②現状使用の承認
記載が必要な項目として、「隣地所有者が所有する越境物を現状のまま使用することを容認する」といった内容も挙げられます。
▼現状使用の承認に関する記載例
- 敷地内に越境物がある土地所有者が、即時に越境物の撤去や移動を請求しない
- 現状使用を承認するのは、隣地所有が越境物の変化(建替え・改築など)を行わない場合に限られる
③越境物の撤去条件
隣地所有者が越境物を撤去する際の条件についても明示しておくことが重要です。
▼撤去条件の例
- 隣地所有者が将来に建て替えや改築などを行う際は、自己の責任と費用負担によって越境物を撤去し自己の敷地内にやり替えること
- 撤去後に越境部分の土地の所有権を主張しないこと
④覚書の継承義務
隣地所有者が第三者に名義変更した場合を想定して、取交わした当該覚書の内容を新所有者へ継承させることを記載しておく必要があります。土地売買や譲渡などによって土地所有権が移転した場合には、作成した覚書の権利・義務を新所有者に引き継ぐため、不可欠な記載内容となります。
以上、越境物の覚書に記載する内容は、越境物の状態や撤去を求める条件などによって異なります。敷地内の越境物でお困りの方、敷地境界上の塀の取扱い等、隣地所有者との覚書の作成や締結をお考えの方は、お気軽に協会へご相談ください。
(著者:関口)


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