賃貸不動産業界において重要な資格でありながら、宅地建物取引士に比べて浸透性が低かった「賃貸不動産経営管理士」が2021年4月21日に民間資格から国家資格となりました。

 

 

これにより、賃貸不動産経営管理士の取得希望者が大幅に増えると予想されます。国家資格化に加え、2021年6月に施行された「賃貸住宅の管理業務の適正化に関する法律」により、管理戸数が200戸以上の不動産会社は向こう1年以内に「賃貸管理業者」の届出を国土交通省に行い、かつ事務所ごとに1名の業務管理者(国家資格としての賃貸不動産経営管理士のことです)を置くことが義務となったためです。

実は2011年に創設された、国土交通省による「賃貸住宅管理業者登録制度」においても管理業者の登録が推進されたのですが、あくまでも登録は任意でしたので、全ての管理業者が登録をしているわけではなく、本来の意味での管理業務の適正化の実現に至りませんでした。この結果を踏まえ、適正化に向けた新たな法律を制定し、管理業者登録が義務化される運びとなったわけです。

さらに今回制定された法律には、保証家賃の不当な減額などのトラブルが頻発しているサブリース(一括借上げ)についても言及されており、賃貸物件を借り上げる管理業者がマスターリース契約の締結前にオーナーに対し重要事項説明を行うことが義務付けられ、契約内容はもちろんの事、オーナーに生じ得るリスクをしっかりと伝えなければならないことが規定されています。

 

不動産業界においてスタンダードな資格として定着している「宅地建物取引士」は主に売買に関する知識を必要とするものであり、宅地建物取引士に次いで受験者が多い「管理業務主任者」「マンション管理士」は分譲マンションの管理に関連した資格です。賃貸管理に関する資格は複数存在していましたが、どれも民間資格ということもあり、あまり日の目を見ることがありませんでした。

私が賃貸不動産経営管理士の前身となる資格を取得したのは民間資格であった頃の2008年です。その頃の私は不動産会社で賃貸管理の業務を行っていたのですが、受験した印象としては賃貸管理業務の従事者にとっては取り組みやすい設問である一方、問われる知識はどれもおさえるべき重要なものだったと記憶しており、「この資格をもっと広めたら良いのに」と感じていました。

今回、賃貸不動産経営管理士が国家資格となったことで、賃貸管理業務の従事者の多くが改めて賃貸管理の知識を体系的に学ぶ機会を得ることが期待できますので、賃貸不動産業界全体のレベルアップにも繋がれば良いと思います。

 

因みに宅地建物取引士の有資格者には、2022年6月までは、優遇措置として一定条件のもと、移行講習を受けることで賃貸不動産経営管理士に準ずる資格を得ることが可能です。しかしながら、テキストや過去問集を読んでみますと「なるほど」と思う知識が多く記載されています。例えば「都市ガスは空気よりも軽い、それに対しプロパンガスは重い」ことを問う設問もありました。ガス漏れの時には都市ガスは天井をうちわで仰ぐ、プロパンガスは床を仰いで外に放出する、ということですね。ご興味のある方はぜひ調べてみて下さい。

(著者:鈴木)