我が国の高齢者人口(65歳以上)は推計で3588万人(2019年9月現在)、人口に対する割合は28.4%と人口、割合ともに過去最高を記録しており、世界201か国の比較でも高齢者人口の割合はダントツの一位(二位以下十位までは20~23%程度)で、世界に類を見ない「超高齢社会」であることを示しています。

 

 

 

高齢者入居を敬遠し続けると空室リスク増大!

一方で賃貸業界では高齢者の入居を敬遠する向きが見られます。高齢者は病気、事故等での死亡や認知症発症のリスクが高いということからでしょう。

過去の調査結果では、約6割のオーナーが高齢者受入に拒否感を抱いていると回答。外国人入居者に対しては専門の賃貸保証株式会社が登場するなどハードルが下がって来ているのに対し、画期的な解決策のない高齢者入居の抵抗感は現在も変化していないと思われます。

さらには我が国の生産人口(15~64歳)は毎年50万人ずつ減少していくと推計されています。今後、高齢者を敬遠し続けることは生産人口の減少リスクをまともに受けることとなり、今や高齢者の受入れは無視できない現実となっているのです。

 

メリットの理解から始めてみましょう!

先ずはメリットを理解し、賃貸経営のプラスになるかを判断してはいかがでしょうか。

 

1.高齢者人口は増え続ける

減少し続ける生産人口に対し、65歳以上の高齢者人口は20年にわたり毎年30万人ずつ増加すると推計、広すぎる持家を引払って賃貸に転居する単身高齢者も増加する傾向。

2.不人気物件にもチャンス到来

若年層が敬遠しがちな1階のお部屋も足腰の弱い高齢者には好都合。駅近でないバス便物件もシルバーパスを持つ高齢者なら大丈夫。

3.入居期間の長期化

単身者若年層の8割以上が6年以内に退去するのに対し、高齢者は7割近くが6年以上居住するとういう調査結果があり、入退去時の空室リスクや原状回復費用の節減にも。

4.滞納リスクの低減

年金受給額で審査を行えばある程度の滞納不安は解消。さらには7年連続で高齢者就業率上昇、給与所得が年金収入を上回る高齢者も増加中。

 

リスク解消には保険や見守りサービスを

高齢者受入の最大のリスクは、孤独死による部屋の汚損や事故物件化でしょう。こうした事態への対策としては少額短期保険があり、死亡事故の原状回復費用だけでなく、事故物件化してしまった際の空室損さえ補償する商品も存在します。

また最近では以下のような多種多様な見守りサービスが登場し、高齢者受入とリスク回避に活用されています。

 

訪問型実際に人が対象者を訪問するタイプの見守りサービス。健康状態などを直接確認でき、高コストだが安全性が高い。

センサー型居室内に設置された各種センサーにより見守り、異常を検知したら報告されるサービス。機器の設置費用が掛かりますが365日の24時間体制で見守ります。

電話・メール型電話番号やメールアドレスへ定期的にアクセスして連絡を取るサービス。対象者からの返事や一定のリアクションが確認できない場合に報告されます。

機器利用検知型電気ポットなどの日用品に通信機器が埋込まれ、一定の利用のない状態が検知されると報告されます。最近ではセンサー内臓の「見守り照明」や「見守りロボット」なども登場。

電気水道検知型電気水道の利用量をチェックして異常の有無を判断します。電気の「スマートメーター」の普及により電気見守り型のサービスが次々登場しています。

 

たとえ高齢者でなくても、残念ながら事故は一定の確率で発生します。それならば、これらのサービスにより事故の確率を極力減らし、高齢者受入によって空室期間の短縮を図る事は決して悪くない方法です。我が国において、唯一増加する入居者である「高齢者」とどう向き合うべきかが、令和時代の賃貸経営を左右する重要な判断材料となるのではないでしょうか。

 

(著者:関口)