新型コロナ感染症という災禍も世の中的には終息した本年、公示地価、基準地標準価格、相続税路線価ともに三大都市圏では上昇し、その上昇は地方圏にも波及してきたという公的発表が続きました。肌感覚としても不動産デフレは既に脱却し、特に首都圏では不動産価格は今後も上昇もしくは横ばいで、大きく下落するという感覚は薄くなっているように感じます。

そこで今回は不動産価格に影響を与える要素についてのキホンを考えてみます。

 

 

 

 

不動産価格に影響を与える要素はおもに、社会的要因、経済的要因、行政的要因の3つです。

まず、社会的要因とは人口の増減、移動、世帯構成などによる地価の変動です。不動産も基本的には需要と供給の関係ですので、人が多く集まるところは需要が高まり、地価も上昇しますし、逆に人が減少するところは需要がなくなるので地価は下落します。

経済的要因とは主に金融政策です。金利が下がれば不動産の取引が活発化しますし、逆に金利が上昇すれば、不動産取引は一定の影響を受けます。

また、金融機関の不動産に対する融資姿勢が積極的になれば不動産取引が活発になり不動産価格は上昇傾向になりますし、不動産融資を引き締めた場合には不動産取引が沈静化し、不動産価格は下落傾向となります。ここ数十年来の超低金利政策によって住宅をはじめとした不動産取引が活況を呈していますし、ここ数年の金融機関の積極的な不動産融資によって不動産価格は上昇してきたと言えるでしょう。

 

行政的要因とは、おもに都市計画、利用計画などによって不動産価格が影響を受ける事です

新たに鉄道の新駅や、高速道路のインターチェンジなどができたり、区画整理や再開発が進んだりすれば、人が集まり、不動産価格は上昇傾向となります。また、不動産取引に関する規制や、不動産税制によっても不動産の価格は影響を受けます。

この3つの要因に加えて個別的要因として、土地の間口、奥行き、面積、高低差などの土地の形状や建物の仕様、収益性などによって不動産価格は影響を受けています。

さらに大きな影響をあたえるのが、売主・買主の個別事情です。

不動産は早期にお金が必要な事情がある場合など、売りたい気持ちが強ければ、価格は下落傾向になり、隣の土地や希少物件などのように、どうしても購入したいという気持ちが強ければ、価格は上昇傾向になります。このように、売主・買主の気持ちしだいで価格は2割3割容易に変わってしまいます。

 

以上のように、不動産は理論的価値もさることながら、やはり最後は相手との駆け引き、人の気持ちが価格に大きな影響をあたえるのもまた事実です。

AIが発達しても、こればかりは実際に会って、顔色、声色、足元を見なければ有利な取引は難しいかもしれません。まだまだAIには負けられませんね。

 

(著者:不動産コンサルタント 伊藤)