「借地借家法がある以上、貸主は常に不利」という認識は、必ずしも正しくありません。本件は、建物の使用方法をめぐる認識の相違から生じたトラブルを、法的手続きによって解決へと導いた事例です。協会を通じて弁護士と連携し、会員様が解決に至るまでの経緯を振り返ります。

今回の対応は、馬車道法律事務所の弁護士2名による連携のもと進められたもので、お話を伺うのは担当された小賀坂徹弁護士です。

 

どこへ行っても解決しなかった相談

関口)

今一度経緯を説明します。Y市に重量鉄骨造3階建てビルをお持ちのオーナー様からのご相談が始まりでした。1階と2階を賃貸に出し、最上階がご自宅という物件です。

1階のテナントは、スーパーへ切り花を卸す比較的規模の大きな花屋さんだったのですが、倉庫全体を冷蔵庫のように使用していたのです。100坪ほどの空間に業務用の大型冷房機が複数設置され、壁には穴が開けられていました。設定温度は10度以下。作業員の方が夏場にもかかわらずダウンコートを着ているほどの環境でした。

その結果、結露が発生し、2階の床は水浸しの状態となり、入居者から猛烈な苦情が出ていました。1階倉庫の鉄骨の柱や梁、階段などには錆が出て、外壁の北側には苔が生えるなど、建物全体にも影響が及んでいました。しかし相手方は「建物の構造が悪い」と主張し、不動産仲介会社もそれに同調する状況で、オーナー様は対応に苦慮されていました。

相談内容は、建物賃貸借契約の解除と、2階の入居者への損害賠償や建物の修繕費は家主が負担しなければならないのかということ。