◎税理士が考える土地活用とは?

この時期は各企業が決算を控え、建売住宅の値引き交渉がしやすい時期です。今回は税理士の視点から、土地活用における建物の選択について、事業面と税金面の両面で考察していきたいと思います。

まずは事業面です。一般的に建築費の支払いを現金一括で行う方は少なく、多くは借入金返済などの事業リスクを伴うため、事業面は最も重要です。

 

 

 

◎[借り手視点]「賃貸マンション・アパート」と「賃貸戸建」の違い

 

 

かつては「建物を建てれば入居者が集まる」という時代もありましたが、昨今は建築地域の特性を考え、賃借人のニーズを重視することが最も重要です。そのため、もし同じ地域の地主が住居系の建物を建てるのであれば、用途制限などの法令範囲内で、事業系の建物や他の活用方法も選択肢の一つとして検討することが必要です。続いて、税金面についてです。

 

◎収入に対する税金の違いは?

所得税や法人税などの収入に対する税金は、賃貸マンション・アパートと賃貸戸建で特に違いはありません。構造による建物の耐用年数によって違いが生じる程度ですが、建築後の大規模な修繕費用には差異が現れます。一般的に、一棟あたりの建物規模が大きくなる賃貸マンション・アパートの方が大規模修繕費用は高くなり、その分利益が減るため、税金は下がりやすくなります。

一方、賃貸マンション・アパートは借主(部屋)の数が多いため、賃貸収入を得やすく、空室リスクにも強いという利点があることから、建築融資を受けやすいという特徴があります。

 

◎建物の利用区分ごとに異なる相続税

一般的に、「賃貸マンション・アパート」は、建築計画地の容積率や建ぺい率を最大限活用するのに対し、「戸建住宅」はゆとりを持って建設されます。

「賃貸戸建」は、土地を自由に分譲しやすいという特徴から、不整形地補正に代表される土地の評価額を減らす補正をあえて活用することで、土地の評価額を意図的に引き下げることができます。

ただし、相続税評価額が下がるということは「土地の時価が下がる」ということですので、もし土地の売却が最終目的であれば、戸建の建設が良策かどうか、慎重に検討する必要があります。また、「賃貸マンション・アパート」は多額の建築費を要するため、特に竣工直後の相続税を抑える効果が非常に期待できます。建物の建設に関する選択を行う際は、施主や相続人、賃借人(地域)の状況を考慮しながら、建築以外の選択肢も含めて多角的に検討することが大切です。

 

(著者:税理士 高原)