home > 協会コラム > 不動産売買

不動産売買

ウッドショックの影響

2021年に入ってからウッドショックと呼ばれる事態が起こりました。

ウッドショックとは世界的な木材価格の上昇を指し、1970年に起きたオイルショックになぞらえた言葉です。

 

 

 

原因の一つには、米国での木材需要の急激な増加があるといわれます。

これは米国で新型コロナ対策のために住宅ローンの金利を下げたことや、リモートワークの増加によって戸外に一戸建てを建てたいという人が急激に増え、木材の供給不足が起こり、木材価格が急騰したためです。

他の原因には中国における木材需要の増加の影響もみられます。

もともと中国では経済成長が続くなか、木材の需要が急速に増加し、2019年の丸太消費量は2010年と比べると23%も増加していました。

その一方で近年、木材の供給不足も始まっています。例えば米国では山火事が頻発し森林の消失が相次いだり、ヨーロッパでは外注によって木材に被害が出ている地域が広がったりしています。またロシアでは2022年1月から丸太や粗く加工された木材の全面輸出禁止を発表したりするなど、木材の供給不足への不安が高まったことも、価格の高騰を招いた原因と思われます。

 

では、日本への影響はどうでしょう。上記の原因に影響されて、世界的に木材の価格は上昇し、2021年に入ってから丸太や製材の輸入価格も高くなりました。

そして、日本でも丸太や製材価格が上昇しました。

2021

※下記参照

 

 

 

日本の木材自給率は4割弱であり、6割強を海外からの輸入に依存しています。輸入木材の価格が急騰して、日本国内への輸入が滞れば、ハウスメーカーにも影響が及びます。

また木材を用いるのは住宅メーカーだけではなく、家具やインテリアなど、海外からの輸入材料を原材料にして製造されているものも少なくありません。そのため、家具やインテリアの小売価格にも影響が及ぶと考えられます。

 

ではコロナ禍の中で国内の戸建新築需要はどのようになっているのでしょうか。

国内の戸建住宅の受注は、新型コロナウイルスの影響で2020年4月に急激に落ち込みましたが、同年8月までに大きく回復し、2020年は前年を上回る数字になりました。

しかし、8月をピークにして、輸入材の価格上昇と連動するように受注は低下しました。

 

また国土交通省で2021年7月頃に全国の中小工務店を対象にアンケートをおこなった所、

「木材の供給遅延が生じている」と回答した工務店は94%。その内36%が「現在の工事に遅れが生じている」としています。

コロナウイルスで落ち込んだ受注が回復し始めたところに、ウッドショックが起こり、急ブレーキをかけざるを得ない状況になりました。

木材の高騰価格による影響が、住宅市場に徐々に影を落とし、消費者にとって大きな問題となり始めています。

 

(著者:手塚)

 

 

ご相談窓口

まずは、お電話、お問い合せ・ご相談フォームより、お越しいただく日程を決めさせていただきます。
※東京近郊にお住まいの方は、協会事務所までお越しいただき、詳細に相談をお受けいたします。

お電話でのご連絡

  • 新宿本部

    03-3320-6281
  • 横浜オフィス

    045-620-3701

お問い合せ・ご相談フォームからのご連絡