空き家仲介手数料が規制緩和!上限33万円に引き上げ
- 経緯
日本では少子高齢化や人口減少に伴い、空き家が増加しています。総務省によると、2023年時点で空き家の数は900万戸、総住宅数に対する割合(空き家率)は13.8%に達しており、深刻な問題となっています。
空き家が放置されると、防犯や防災上のリスクが高まり、景観の悪化や地域活性化の阻害要因となります。
こうした状況を受け、国や自治体は、空き家を利活用してもらえるように流通促進に取り組んでいますが、不動産業界では媒介報酬の規制が障壁の一つとされてきました。
不動産仲介業者が受け取れる媒介報酬は宅地建物取引業法で上限が定められています。
これにより、特に価格が低い空き家では、仲介業者が十分な報酬を得られず、取り扱いを敬遠するケースが少なくありませんでした。このような状況を改善するため、2018年に媒介報酬規制の見直しが行われましたが、昨年、さらなる見直しが行われました。

- 内容
①価格が800万円以下の物件の報酬規制緩和
物件価格が800万円以下の宅地、建物の売買の媒介報酬は、33万円を上限として規制緩和されました。例えば、400万円の物件でも、33万円(消費税含む)を受領できるようになりました。今回の見直しにより、報酬を定額化することが可能になりました。これにより、仲介業者が低価格物件を扱うインセンティブが強化されました。
②報酬規制の相手の拡大
2018年の見直しでは、報酬規制の適用の相手方は、売主に限定されていましたが、今回の規制見直しでは、売主、買主双方から、各々最大33万円受領できるようになりました。
③媒介を受ける際の留意点
媒介契約の締結の際、あらかじめ報酬額について、依頼者に十分な説明と同意が必要とされ、契約書に明記することが義務付けられました。このルールは不透明な報酬設定を防ぎ、利用者が安心して仲介サービスを利用できるようにする目的があります。
- 今後
この改正により、不動産仲介業者にとっては収益性が向上し、所有者も空き家を手放しやすくなります。
これにより、空き家の増加が抑制され、移住促進や地域の活性化にも寄与すると考えられます。
また、空き家所有者の意識改革や自治体の支援策とも相まって、空き家率の低下が目指されます。
(著者:青木)