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不動産売買

基準地価発表 全国平均2年連続上昇

先日、令和元年度の基準地価が発表されました。

基準地価とは土地取引の指標となる価格で毎年7月1日時点の調査地点の価格を9月に公表するものです。同じく取引価格の指標となる価格に公示地価がありますが、これは毎年1月1日時点の価格を3月に公表するもので基準地価は公示地価から半年経った地価の変動を補完する意味合いがあります。

 

さて、今年は全国平均前年比2年連続の上昇とのことです。基準地価は、全国、三大都市圏(東京、大坂、名古屋)地方圏中核4都市(札幌、仙台、広島、福岡)それ以外の地方圏という括りでその動向が総括されます。今回の注目すべき点は三大都市圏以外の地方圏の商業地平均が28年ぶりに上昇したということです。主な要因としては札幌含む北海道の上昇と沖縄の上昇です。いずれも訪日外国人を含む観光客の増加が大きな要因です。要するに地方といえども人が集まるところは地価が上昇するということを証明した形です。

 

 

 

これだけの情報では、なんとなく景気がいいような気がしますが、全国平均、地方平均など、「平均」という指標は情報を受け取る側の感覚を鈍らせてしまいます。ご承知の通り。平均というのは突出した数値があると全体の平均を押し上げたり押し下げたりします。雑誌の特集などでよく取り上げられる、平均年収や平均貯蓄額などは、その地域にソフトバンクの孫さんやユニクロの柳井さん、日産のゴーンさんがいるだけで、大きく上振れしてしまします。景気指標とタクシーの運転手などからヒアリングする街角調査などの実際の肌感覚と異なるのはこの為です。平均というのはなんとも便利な指標ですが、このような異常値を調整していかないと意味のない数字遊びになりかねません。

 

基準地価などの地価調査も一緒です。実際は、東京を中心とした三大都市圏に地方圏中核4都市、加えて今回は沖縄と、これだけで平均を押し上げており、この上昇地点を併せても全国の32.8%に過ぎず、これ以外の67.2%は横ばい、または下落です。しかも下落は28年連続ということですので多くの地方圏においては計測不能状態に陥っているということも言えなくもありません。

このようなことから、公示地価や基準地価については全国の動向というより、より狭いエリアである同一需給圏内ごとの動向を把握することが、漠然とした情報に流されないポイントです。

 

また、公的地価の公表は実際の地価の動向より遅れています。私の肌感覚では既にピークを過ぎているような気がするのですが、来年の公的地価はどうなるのでしょうか。

それにしても土地の価格ばかりは大きなうねりの中に身を委ねるしかなく、自身の努力や工夫によって変わるものでもありませんので、発表のたびに一喜一憂してもしょうがないですね。

 

(著者:不動産コンサルタント 伊藤)

 

 

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