第5回資産活用_『旧借地法適用の貸地運用!土地賃貸借編』④
前回の続き
3.各種承諾料収入
承諾料とは、借地人に何らかの承諾をする代わりに、地主さんが受け取る一時金のことです。
貸地における各種の承諾料は、所有権を持ちながらも土地の使用収益に多くの制限を受けている地主さんにとって、借地人が借地上の建物を使用収益するために必要な、各種の承諾を得る対価として支払われます。
そして、土地賃貸借における運用益の中では最も適正に請求できる収入なので、承諾を与える際には運用収益の柱として、必ず適正に受け取りましょう。
尚、借地人が地主さんに承諾の必要な行為を承諾なしに行うと、土地賃貸借契約を解除できる場合があります。
借地人が地主さんの承諾なしには、できない主な行為は以下の通りです。
①借地権(借地権付建物)の第三者への譲渡(名義変更)
②借地(借地権)の第三者への賃貸(借地の転貸)
※借地上建物の賃貸は転貸とはならず承諾は不要
③借地上建物の建替え
④借地上建物の増改築(建物の耐用年数を伸ばす大規模修繕等含む)
※壁の一部ひび割れ、窓枠の破損などの小規模修繕にあたる行為は承諾不要
⑤建替え等で融資を受ける際の借地への担保設定
※③④と同時に地主さんの抵当権設定承諾(融資承諾書)がないと融資が受けられない
⑥非堅固建物から堅固建物へ使用目的の条件変更
では、本題に入ります。
承諾料には数種類がありますが、ここでは代表的なもので①借地権譲渡承諾料、②建替承諾料、③増改築承諾料、④条件変更承諾料の順番にご紹介します。
①借地権譲渡承諾料
借地人が第三者に借地権(借地権付建物)を譲渡しようとするとき、借地人への承諾を与える対価として、地主さんが受領する承諾料で、名義書換料(名義変更料)とも言われます。
借地権譲渡承諾料の相場の額は、「借地権価格に10%をかけて算出される数字」というのが一般的ですが、低い例では8%、高い例では25%といったケースや、借地権譲渡価格を基準に算出する場合もあり、これといって決められているものではありません。
ただし、借地権譲渡承諾料の額を決める際に、借地権価格を参考にする理由としては、「借地権を譲渡する相手から、借地人が受取る代金の何%が地主さんに支払われるか」という点を重視するためです。
借地権譲渡承諾料は、借地権価格の他、借地契約期間がどのくらい残っているか、毎月借地人さんが払っている地代がいくらかなどの条件も考慮して総合的に算出します。
次回以降に、承諾料の内②建替承諾料、③増改築承諾料、④条件変更承諾料をご紹介します。
(著者:関口)