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資産活用

「負」動産➀_ただでいいから手放したい 

不動産は所有しているだけで負担の生じる財産です。

固定資産税や都市計画税、建物の維持修繕費、マンションなどの場合、管理費、修繕積立金など、それなりの金額を所有している限り永遠に負担しなければいけません。もちろん、自身や家族で住居や店舗、事務所、倉庫、駐車場や資材置き場、他や畑などで利用したり、第三者に賃貸して収入を得たりすることで負担相応の不動産の利用価値を見出しています。そして、所有者にとって利用価値の無くなった不動産は売却し、相応の金銭を受け取る。これがごく一般的な不動産の活用サイクルです。

 

 

 

しかし、利用価値がなくなり、いざ売却しようとしても売却できない不動産、売却できないばかりか管理の手間と費用がかかる不動産が顕在化し問題になってきています。

代表的な例として、80年代バブル時代のリゾートマンションがあげられます。購入当初は年に数回利用したり、バブルによる利用価値を上回る資産性もあったことから維持管理の負担感はありませんでしたが、バブル崩壊後は資産価値が暴落し、売却しようとしても、まったく売れず、管理費用の負担ばかりがのしかかってきました。このような利用価値もなく資産価値もない、加えて保有している限り費用ばかりが嵩む不動産は子供も引き継ぎたくありませんし、親も引き継がせたくありません。たとえ無償であったとしてもなかなか引き取り手がないのが現状です。また、子供が引き継がない方法として、相続発生後に相続を放棄するという方法もありますが、不要な財産だけでなく、ほかの一切の財産も含めて放棄しなければならないことなどから現実的には難しいといえます。

 

このような所有し続ける限り費用の負担が生じる、無償でも引き取り手がいない不動産の問題解決事例として、引き取り手に一定期間分の維持費を不動産と併せて譲り渡すという方法があります。

本来とは真逆の発想ですが、所有者にしてみれば手切れ金のようなもので、一定金額を支払うことによって負担から解放されるというメリットがあります。実際に相談を受けた案件ではリゾートマンションの管理費数年分を管理会社に支払って、その管理会社に物件を引き受けてもらったという事例があります。将来の負担から解放されることはもちろんですが、金銭を支払ってでも、自分の代で解決し、子供に負の財産を残さなくて済んだという精神的なメリットは大きいといえます。これは関与していただいた弁護士の交渉力も多分に影響したと思われますので、すべてがこのように解決するとは限りませんが、このような発想をもつこともひとつです。

 

相続土地国庫帰属法が成立し、不要な土地を国に帰属させる法律ができました。この法律では10年分の維持管理費相当分を国に納めることを条件の一つとしています。もはや不動産の処分方法は、売る、あげるに加えて、お金とセットであげるという不思議な時代になりました。

 

(著者:不動産コンサルタント 伊藤)

 

 

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