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相続

おひとりさま相続・おふたりさま相続③(遺産の行方編)

◎おひとりさま相続の完結編です。

2回に渡って取り上げてきた「おひとりさま相続」の完結編として、みなさんにとっても大きな関心ごとの一つである「おひとりさまの遺産の行方」についてご説明したいと思います。

 

 

◎行き場のない遺産は国庫へ

相続人が不存在の場合、①相続財産管理人選任申立→②相続財産管理人選任公告→③債権申出公告→④相続人捜索公告 ⑤特別縁故者相続財産分与申立→⑥分与又は申立却下の審判→⑦特別縁故者へ財産分与→⑧残余財産の国庫帰属…というような手続きがとられることになります。

わかりやすく言うと、財産管理人を決めて、借金があればそれを清算し、相続人を探しつつ、生前に特にお世話をした人がいれば申し出てもらい、財産を渡すかどうかを家庭裁判所が審判、受け取るべき人がいなければ財産はいよいよ国のものに、という流れです。

 

◎財産を国庫に帰属させたくなければ

財産を国庫に帰属させないための方法はいくつかあります。

まず一つは、養子縁組をして法律上の子供を作ってしまうというもの。必然的に財産は養子へ渡ることになります。

二つ目は遺言書の作成。財産の受け取り先は慈善団体等の法人でも認められますが、受け取り手の意向を確認しておく必要があります。

三つ目は生前贈与によって、生きている間に他者に渡してしまうというもの。「贈与者が死亡した時点で、事前に指定した財産を受贈者に贈与する」といった贈与契約を結ぶ死因贈与なら、遺言と違って受贈者が受け取ることを約束しているので安心です。最後は、極論ですが、生前に財産を使い切ってしまうというものです。

これらのうち複数をかけ合わせることも可能です。いずれかの方法を準備しておけば国庫への帰属を避け、ご自身の財産を有効活用することができるでしょう。

 

◎法人化すれば「おひとりさま」でも大丈夫?

個人で所有している財産はおひとりさま相続の対象。ならば、所有財産をすべて法人に持たせてしまえば財産が国庫に帰属するということもなくなるのでは…そう考えてしまいがちですが、一般的にはそのようにはいきません。

法人設立にあたっては元の財産所有者が株式を有する(出資する)ことが一般的であり、株式を通じて間接的に財産を有しているということになるためです。仮に、他人が経営する法人に財産を持たせることができれば、それはまさしく所有財産の移転。個人の財産はゼロということにできますが、なかなかリスキーな選択です。財産を移転した法人の所有者とご自身が生前に良好な関係性を築き続け、なおかつ法人の運営が先々も順調であるということを前提に考える必要があります。

 

◎おひとりさま相続 番外編「賃貸経営法人の相続」

最後に、実際はおひとりさま相続でなくとも、実質的におひとりさま相続と同様の状態になってしまう可能性がある相続の形をご紹介したいと思います。

それは「相続人に法人化した理由を伝えていない賃貸経営法人の相続」です。相続人に対して、なぜその不動産を所有しているのか、なぜ法人という形をとっているのかをしっかりと伝えられていないと、相続人がよほど不動産経営に興味を持っていない限り、会社ともどもあっさりと売却されてしまうでしょう。不動産の売却や会社の処分は悪いことではありませんが、家族間の話し合いは済んでいるのかな? と心配になってしまうようなご相談が増えています。この機会に、親子で話し合う時間を設けてみてください。

 

(著者:税理士 高原)

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