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相続

司法書士の事件簿~第1回「登記名義人の住所が繋がらない」

【ご挨拶】

皆さんこんにちは。本コーナーを担当いたします司法書士の大谷雅彦と申します。皆さんは「司法書士」の仕事というと、まず何を思い浮かべるでしょうか?

一般的には、司法書士に対し、「不動産登記や商業登記の手続を行う専門職」というイメージがあると思いますが、司法書士の業務は登記のみではなく、多岐にわたっています。

本コーナーでは、それら様々な司法書士業務に関連して、私が経験した案件を、守秘義務に触れない範囲内でご紹介いたします。

もっとも、今回は初回ということもあり、不動産登記に関連する案件をご紹介いたします。

 

 

 

【案件その1~登記名義人の住所の変遷が住民票等から証明できない】

売買や贈与等による所有権移転登記を申請する場合、売主や贈与者の登記記録上の住所が、所有権を取得した当時(昔)のままで、その後、住所を移転したにもかかわらず、住所移転による所有権登記名義人変更登記を申請していなかったということがよくあります。

所有権移転登記申請の場合、法務局は登記記録上の所有権登記名義人と、売主等の同一性を「住所と氏名」で判断しますので、上記のように住所移転の登記を申請していない場合、別人と判断され、所有権移転登記申請が却下されてしまいます。

 

当然、司法書士は、所有権移転登記申請の依頼を受けた場合、必ず、所有権登記名義人の登記記録上の住所と売主等の現在の住所が同一であるか否か確認し、同一でない場合は、所有権移転登記申請の「前提」(前件)として、住所変更等を原因とする所有権登記名義人変更登記を申請します。

その際は、住所変更を称する書面として、住民票や戸籍の附票(本籍地に紐付いて住所の履歴が記録されたもの)を入手し、これらを法務局に提出します。

 

これら入手した住民票等で、登記記録上の住所と現在の住所との繋がりが証明できれば何ら問題ないのですが、所有権を取得したのが30~40年前で、その後数回住所を移転しているような場合には、その繋がりが証明できない場合が多々あります。

その原因は、従前、旧住民基本台帳法施行令第34条で「除票又は戸籍の附票の除票を、これらに係る住民票又は戸籍の附票を消除し、又は改製した日から5年間保存するものとする。」とされていたことにあります。

 

この点、令和元年6月20日に上記施行令が改正され、保存期間は150年と大幅に延長されました。なお、この改正については、司法書士会も政府に要望などの活動を行いました。

とはいえ、既に廃棄されたものが上記改正により復活するわけではありませんので、今後もこのような問題は発生します。

それでは、このような場合、司法書士はどのように対応するのでしょうか?

 

この点、法務局内で統一した基準があるわけではなく、可能な限り取り寄せることができる資料(戸籍の附票の廃棄証明や登記記録上の住所についての不在住・不在籍証明書等)を収集し、併せて登記済証(権利証)や固定資産税の納税通知書や、登記済証がない場合等は名義人作成の「上申書(登記記録上の登記名義人は私に間違いない旨を記載)」(印鑑証明書添付)を作成し、法務局に提出します。

もっとも、実際には、これらの資料を全て提出するわけではなく、場合によっては法務局に事前照会し、要求された資料を提出します。

 

このように、一見簡単なように思われる所有権登記名義人住所変更登記についても事案によっては様々な資料を取り寄せなければならず、結果、結構骨の折れる作業になることが多々あります。

 

(著者:司法書士 大谷)

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