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相続

相続対策の一丁目一番地だからこそ 〜生前贈与総復習③〜

◎正解発表!答えは「場合によります」

生前贈与総復習の最終回は、「暦年贈与と相続時精算課税、どちらが有利?」というご質問に対する答えから。これはよく言われる「オーダーメイドの相続」という考え方から、一律にこれをしておけば、というものはありません。

ただし有利・不利を考える上での基本はあると思います。

贈与者の年齢、受贈者の年齢、贈与財産の種類、評価額の変動幅、受贈後の活用方法、将来の贈与計画などを総合的に判断して決めていくことになるでしょう。そのような中でも、一般的に暦年贈与が良い結果(節税)に繋がりやすいケース、相続時精算課税が良い結果に繋がりやすいケースについて、それぞれみていきたいと思います

 

 

◎暦年課税を選んだ方が節税に繋がりやすいケース

・受贈者が贈与者からの相続や遺贈(≒遺言)により財産を取得する人ではない

・贈与者の年齢が若い(少なくとも加算対象期間以上は相続が発生しない)

・贈与資産を現金預金などの細分化できる財産を用いて適用贈与税率を選択しながら贈与することが可能(相続時精算課税の税率は一律20%)

・贈与資産が将来、滅失する可能性がある

 

◎相続時精算課税を選んだ方が節税に繋がりやすいケース

・贈与者の年齢が高い(暦年贈与の加算対象期間内に相続が発生する可能性が高い)

・贈与資産の価額が将来に渡って右肩上がりする可能性が高い(少なくとも相続時点で贈与時点よりも大幅に上がっている可能性が高い)

・元々、相続税が発生しない(相続財産が基礎控除以下である)

 

◎財産をもらったら終わりではありません

暦年贈与であれ、相続時精算課税であれ、大事な財産を贈与したら(もらったら)それですべて終わり、ではありません。次は受贈者側でその財産を管理・運用する必要があります。

従って、受贈者側に管理能力があるのか否かも節税とは違った意味で有利・不利の判断要素となってくるのは従来から変わりません。贈与者・受贈者間でコミュニケーションを取り、受贈財産のゴール(使い道・運用方法)も話し合ってから取り掛かりましょう。

 

◎贈与税の特例は考慮しましたか?

制度の詳細な説明は省略しますが、①贈与税の配偶者控除 ②住宅取得等資金贈与 ③教育資金贈与 ④結婚・子育て資金贈与 以上は代表的な贈与税の特例制度です。特に教育資金贈与は、相続税の節税手法の一部として大いに幅を利かせていましたが、現在ではその役目を終えつつあるでしょうか。

一方、今も昔もあるのが配偶者を使った相続税の節税手法です。配偶者の税額軽減、(居住用)小規模宅地等の特例、贈与税の配偶者控除は配偶者に認められた特例です。これらは「夫婦の共有財産は夫婦の協力で得られた財産である」という民法の考えから作られたものです。二次相続の着地方法も併せて検討する必要はありますが、活用をおすすめしたい方が多い印象です。

このほか、特例とは言えないかもしれませんが、非上場株式の贈与税の納税猶予制度も、業態によっては検討土俵に上るかもしれません。

 

◎1年の計は元旦にあり。

全3回に渡って取り上げた「生前贈与総復習」。紙面の都合上、取り上げられないトピックスもありますが、ご利用は計画的に。悩む1年の始まりです。

 

(著者:税理士 高原)

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