【体験談】相続登記を自力でやってみました! (令和6年4月スタート相続登記義務化)
◎相続登記、人に頼む?自分でやってみる?
相続税申告のご相談を受けると申告作業とは別に、ほぼ毎回話題に上るのが「相続登記」。
お客様に相続登記に対するお考え(ご自身でなさるのか、司法書士に委ねるのか)を尋ねると、100件に30件ぐらいの割合で司法書士の費用を気にされて迷われる(=自力で出来るのではないかと考えられる)方がいらっしゃいます。そんな時に私の体験談をお話しすると、多くの方が「やはり司法書士にお願いする」とおっしゃいます。
これは今から15年ほど前、私が母に頼まれ、祖父の不動産の名義変更をすることになったときのお話です。
◎法務局に3回通いました。(もちろん平日の仕事の合間を縫って)
相続の仕事を始めて5年経ったか経っていないかくらいの頃、母方の祖父が亡くなりました。相続登記を司法書士に依頼しようという話にはならず、母の「あなた慣れているでしょう?」の一言で否応なしに私が相続登記を行うことになりました。祖母は既に他界していましたので、母を含め、叔父、叔母の計4人が相続人でしたが、遺産分割方針も決まり、遺産分割協議書の作成まではあっさりと完了。母に依頼して、叔父、叔母の署名と実印、印鑑証明書を集めてもらい、「思っていた以上に余裕」と思っていたのも束の間、ここからが胸突き八丁だったのです。
◎登記申請書の作成・提出までの道のり
まず1回目の法務局での登記相談。戸籍謄本や固定資産税評価証明書、分割協議書、印鑑証明書などの提出の仕方、登録免許税の納税方法を教わり、「さあ準備するだけ」となったのですが、ここで最初に壁にぶつかったのが祖父の出生から死亡時までの戸籍謄本集めです。
祖父は本籍地をかなりの数動かしており、一つ一つ取り寄せが必要でした。群馬県、東京都、埼玉県、、、郵送で取り寄せるにしても、直接窓口で取得するにしても、まず役所が開いている時間でないと動きにくく、仕事をしながらでは負担が大きすぎました。
そしてお恥ずかしながら人生初の相続登記申請書の作成。これも意外と壁でした。
法務局のホームページなどを参考に、相続登記のための添付資料の過不足(特に祖父の登記簿謄本の不足がないかどうかの部分)にもかなり気を使いました。作成した申請書を持って2回目の登記相談へ。問題なく作成できていることを確認してもらって、登記申請書の提出まで辿り着くことができました。
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◎あとは結果を待つだけなのですが、なんと、、(母よ、教えておいてよ)
1回目の相談時に「訂正(正式には補正)事項がある場合には連絡しますので、申請書に連絡先を書いておいてください」と言われていて、その通りに連絡先を記載したところ、なんと補正の連絡が。
その内容は、「親族関係図に記載漏れ(相続人の記載漏れ)があるので訂正しにきてください」というもの。「そんな馬鹿な?」と思いつつ、法務局に赴くと、「既に亡くなっている相続人の方がいましたので、その方の名前を記入してください」。そうなのです、母たちには若くして亡くなった妹がいたのです。祖父の戸籍謄本にはしっかりとその旨の記載があったのですが、戸籍をはじめとする書類収集に慣れておらず、登記申請書を作成・提出するので精一杯だった当時の私はそこまで読み取ることができませんでした。
◎ご存じのとおり令和6年4月1日以降相続登記が義務化
同日以前開始の相続であっても義務化の対象です。古い相続であればあるほど、相続人の関係などは複雑になるはずです。さあ準備を始めましょう。
(著者:税理士 高原)