不要な不動産を手放してストレス軽減
年末年始は親兄弟、親せきで顔を会わせる数少ない機会です。必然的にお墓や家のこと、財産や将来の相続のことなど、細かい事から大きなことまで、普段は日常に紛れてあまり考えていないことも、この時期には日常とは違うもう一つの現実をあらためて考える機会でもあり、親兄弟それぞれの思い、考えを話し合う大事な機会でもあります。

また、進学や就職などで地元から離れた旧友たちが戻ってくる時期でもあり、懐かしい面々と、昔話に花を咲かせたり、それぞれの近況報告などを話したりする機会も多いのではないでしょうか。ある程度の年齢になると、自分や親の健康のこと、相続のことが話題にのぼることも少なくありません。特に近年は、相続や終活、空き家などの話題がメディアで多く取り上げられていますので自分事として関心も高まっています。
実家の土地建物を親から相続したけれども、今のところ自分も兄弟も利用する予定はないがどうすればよいか、という話題は空き家問題の典型例ですが、そのまま放置するわけにもいきませんので兄弟の誰かが管理をしなければなりません。
相続した不動産の管理者、すなわち所有者を特定するために、相続した不動産の名義変更も義務化されましたので、不動産を必要するとしないとに関わらず、兄弟で話し合って合意の上で名義変更しなければなりません。
名義人となったものは空き家となった建物を管理しなければなりませんが、日常的な管理の手間は、それほどかからないものの、人が住んでいないことによる建物の老朽化の進行、破損した部材や倒木、建物倒壊による隣地建物への損害、いたずら、不法侵入などによる防災、防犯上など治安の問題など、そうそう日常的に起こることではなくとも、万一事故が起きたときの所有者である者の責任には重いものがあります。
こまめに現地に行って確認できる場合はなんとか状況を把握できますが、遠方に住んでいる場合は、なかなかそうはいきません。近くの知り合いや不動産会社などに管理をお願いする方法もありますが、タダというわけにもいきません。ならば一層のこと建物を解体することが心配解消の方法ですが、建物が無くなって更地になったとしても、雑草の問題やら、廃棄物の不法投棄やら、自動車、自転車の無断駐車、プレハブ小屋や物置の設置などの不法占有など、まだまだ心配の種はつきることはありません。
要するに不要なものは持っているだけで大きなストレスなのです。このような不要な不動産は積極的に手放すことによってストレスを大幅に軽減することが可能ですので、売れるものは売る、タダでも、お金を払ってでも手放すということが精神衛生上、良いと言えるでしょう。
ただし、不要な不動産を兄弟の一人に押し付けておいて、いざその不動産が売れたときに、いやいや実は自分にも権利がある、などという都合の良い話はくれぐれもなしですよね。
不要なものを持っていることもストレスですが、また、それを譲るのも、壊すのも、捨てるのも、手放すのは、なかなかエネルギーがいるものです。
(著者:不動産コンサルタント 伊藤)