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賃貸経営

「借地借家法を考える」⑧終身建物賃貸借制度

1 はじめに

本年の本コーナーも、いよいよ最終回となりました。1年間に渡り借地借家を巡る諸問題を色々と取り上げてきましたが、最終回である今回は、「終身建物賃貸借」制度を取り上げたいと思います。

同制度は、平成13年に制定された「高齢者の居住の安定確保に関する法律」により創設されたもので、高齢者が死亡するまで終身に渡り建物に居住することのできる賃貸借を認めるものです。

同制度では、民法や借地借家法に基づく通常の賃貸借とは異なる要件・効果等が定められていますが、あまりお馴染みでない方が多いと思いますので、この機会に整理していただければと思います。

 

2 制度の概要

⑴ 認可事業

同制度を活用して建物を賃貸するには、都道府県知事の認可を受ける必要があります。

主な認可基準としては、「1戸あたりの床面積が原則25㎡以上であること」「床段差のない構造で浴室等へ手すりが設置される等、バリアフリー仕様であること」「前払家賃を受領する場合に、当該前払家賃の算定根拠が書面で明示され、かつ、要返還時に備えた保全措置が講じられていること」「賃貸条件として権利金その他の借家権設定の対価を受領していないこと」等が必要とされています。

 

⑵ 入居者

入居者は制限され、「60歳以上であること」「単身であるか、同居者が配偶者もしくは60歳以上の親族であること」が条件とされています。なお、60歳以上の高齢者と配偶者との同居の場合、配偶者自体には年齢制限がなく、配偶者が賃借人となることもできます。

 

⑶ 契約期間等

契約期間は、文字どおり「終身」が原則となり、賃借人が死亡した場合当該賃貸借は相続されることなく終了することになりますが、賃借人側から特に申出がある場合には、借地借家法に基づく「定期建物賃貸借」に賃借人が死亡した時に当該賃貸借が終了する旨の条件を付加した「期間付死亡時終了建物賃貸借」とすることも認められています。

ただし、賃借人が死亡した場合でも、同居者は原則として、賃借人の死亡を知った日から1ヵ月間は、当該建物に引続き居住することが認められています。また、当該期間内に、同居者が申し出た場合、賃貸人は当該同居者との間で、従前と同条件の「終身建物賃貸借」又は「期間付死亡時終了建物賃貸借」による契約を締結することが義務付けられます。

 

⑷ 中途解約

賃貸人からの解約申入れは、建物の老朽化等を理由とする場合に制限され、6ヶ月前に行うことが必要で、更に、都道府県知事の承認も必要とされています。 他方、賃借人からの解約申入れには特に制限はありませんが、老人ホームへの入所等のやむを得ない事情がある場合には1ヵ月前、それ以外の場合は6ヶ月前の申入れが必要とされています。

 

3 おわりに

「終身建物賃貸借」制度は、都道府県知事の認可が必要である等手続の煩雑さもあり、利用が広がっていないのが実情ですが、賃貸人には、賃借人が死亡しても賃貸借が相続されないことにより、「無用な賃貸借の存続・長期化を回避できる」「相続人からの立退料請求を回避できる」「遺留品の処理等を円滑に進めやすい」等のメリットがあります。

高齢化の進む現在の社会情勢も踏まえ、賃貸業の一形態として、高齢者を対象とした「終身建物賃貸借」制度の活用をご検討いただいては如何でしょうか。

 

(著者:弁護士 濱田)

 

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