2020年 賃貸住宅人気設備ランキング
今回は2020年賃貸住宅における人気設備ランキングについてご紹介します。
下表は全国賃貸住宅新聞の集計を参照しています。
(※出典:全国賃貸住宅新聞 2020年10月19日号)
この人気設備ランキングでは、全国の店頭で接客している賃貸仲介会社や管理会社372社が、全46種の設備から人気があるものを選び、その回答した結果になります。
アンケート結果からは例年通り、求められる設備のハイグレード化が進んでいる様子が見てとれます。上位で最も順位を上げたのがファミリー向けの宅配ボックスです。
➀まずは【単身者向け物件】について見ていきましょう。
ランキングの1~7位までの順位は昨年と同様ですが、8位以降は大きな変化が見られます。
8位のシステムキッチン、9位のTVモニター付きインターフォン、10位のエレベータは、
いずれも前年順位から4つ以上繰り上がっているため、需要が高くなっていることが分かります。
その理由としては下記のような声が賃貸会社から聞かれます。
・8位のシステムキッチン(前回12位)
「料理をする20~30代女性からの支持が強い」「ガスコンロよりシステムキッチンのほうが見栄えが良い」など
・9位のTVモニター付きインターフォン(前回15位)
「設置すれば物件のグレードが上がる」「防犯性が高いため人気がある」「またエントランスのオートロック機能の後付けが難しい物件に対し、防犯性を代替する意味で使われることも多い」など
・10位のエレベータ
「大阪から滋賀県など都市部から地方への転勤者に好まれる傾向がある。理由は都会ではエレベータのある暮らしが慣れているためと推測される」など
②次に【ファミリー物件】を見てみましょう。
大きく順位を上げたのが「宅配ボックス」「防犯カメラ」「TVモニター付きインターフォン」です。
・2位の宅配ボックス(前回6位)
「ネット通販の需要の高まり。若い世代にネット通販利用はもはや当たり前。最近は、新型コロナウイルス感染拡大の影響でネット通販の流通量が増えている」
・8位の防犯カメラ(前回13位)
「グレードの高い設備がついている賃貸住宅を探す人は、比較的、セキュリティー意識の強い人が多いと感じる」「防犯カメラを標準設備にいれて新築マンションを企画している。この設備があるから家賃を高く設定できる」など
・13位のTVモニター付きインターフォン(※表には記載無し。前回16位)
防犯カメラと同様、セキュリティー性に価値を高める傾向が強いように見受けられます。
「オートロックがついているとTVモニター付きインターフォンは必須。特に女性は仲介店舗に来店する際、まずTVモニター付きインターフォンの希望をもって来店する」など
以上、単身者・ファミリー向け物件で大きく順位を上げたものを見てみましたが、単身者向けでは「TVモニター付きインターフォン」、ファミリー向けでも「防犯カメラ」「TVモニター付きインターフォン」と、共通して防犯性を求める傾向が強いと見てとれます。住むということ自体に必須な設備ではないですが、例年ニーズが高まっています。
一方順位を大きく下げたものとしては単身者向けでは「追い炊き機能」と「ウォークインクローゼット」。ファミリー向けでは「追い炊き機能」「ガレージ」があります。追い炊き機能は単身者では浴槽につからない傾向が強くシャワーで良いと考える人が多いことや、普及が進み差別化の効果が薄まっていることが考えられます。
最後に、人気設備ランキング上位の「インターネット無料」、「宅配ボックス」は得票数が多い反面、不動産賃貸会社のアンケートではトラブルの多い設備としても名が上がりました。ネットの通信速度が遅い、宅配ボックスを特定の一人が占拠しているなど、ニーズの急上昇と比例し、クレームも増えております。
賃貸管理会社によって対応も様々ですが、放置すると入居者の不満にもつながりますので、丁寧な対応と十分な注意が必要です。
(著者:手塚)