賃貸住宅管理業者の登録義務化
【経緯】
賃貸住宅管理業の登録制度は2011年12月に任意の登録制度として実施され、
昨年6月12日に賃貸住宅管理業等の適正化に関する法律が成立し、本年2021年6月に賃貸住宅管理業の登録が義務化されます。

【背景】
賃貸住宅の管理は、従前、自ら管理を実施するオーナーが中心でしたが、近年、オーナーの高齢化や相続等に伴う兼業化の進展、管理内容の高度化等により、管理業者に管理を委託等するオーナーが増加したこと、
また、管理業者の介在が増加する中、オーナーあるいは入居者とのトラブルが増加したこと等を踏まえ、賃貸住宅における良好な居住環境の確保を図るとともに、不良業者を排除し、業界の健全な発展・育成を図るため、賃貸住宅管理業者の登録制度が創設されることになりました。
【賃貸住宅管理業の登録】
委託を受けて賃貸住宅管理業務を行う事業を営もうとする者について、国土交通大臣の登録が義務化されます。
但し、管理戸数が200戸未満の者は義務化の対象外となります。また、施行日から起算して1年間は猶予期間として、登録を受けずに賃貸住宅管理業を営むことができます。
【賃貸住宅管理業の定義】
①管理委託に係る賃貸住宅の維持保全(住宅の居室及びその他の部分について、点検、清掃その他の維持を行い、及び必要な修繕を行うこと)を行う業務。
オーナーのために、賃貸住宅の維持保全に係る契約の締結の媒介、取次ぎ又は代理を行う業務。
②賃貸住宅に係る家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理を行う業務。
②は①の業務と併せて行うものに限られ、②の業務のみ行う場合は、管理業務に該当しません。
【賃貸住宅管理業者の業務における義務付け】
①業務管理者の配置
賃貸住宅管理業者は、その営業所又は事業所ごとに、業務管理者を選任することになります。業務管理者がいない営業所又は事務所では、管理受託契約を締結することができません。業務管理者とは、賃貸住宅管理の知識・経験等を有するものとし、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士等が想定されています。
②管理受託契約締結前の重要事項の説明
管理業者は管理受託契約を締結する前に、具体的な管理業務の内容や実施方法等について書面を交付して説明しなければなりません。
③財産の分別管理
管理する家賃等について自己の固有の財産と分別して管理しなければなりません。
④定期報告
業務の実施状況等について、オーナーに対して定期的に報告しなければなりません。
【登録義務化による期待】
登録義務化により、不良業者は淘汰され、オーナーや入居者は、まず管理業者が登録事業者かどうかを確認することができ、登録事業者と契約締結することで、トラブルの防止につながることが期待されます。
(著者:青木)