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賃貸経営

孤独死について

賃貸管理業務に長年携わっていますと、人の死に立ち会うことが、結構あります。

そこで、実際に起きた事例について話したいと思います。とはいえ、最近の事例は差し障りがありますので、昔の事例になりますが、内容は最近の事例と大きな差異はありません。

 

 

 

約10年前、正月休みが明けた頃、家賃が未払いになっている契約者がいました。

そこで、支払いを催促する電話を掛けましたが、応答がなく留守電に内容を入れて、その日の対応を終えました。

翌日になっても支払いがないため、前日同様に留守電を入れ、督促状の発送を追加しました。さらに数日経過も未払いは解消せず、部屋を訪問することにしました。

他日、訪問しましたが留守のため、契約者に確実に伝わるように、玄関ドアの隙間に、連絡を乞う手紙を差し入れました。翌週になっても反応はなく、再度部屋を訪問したところ、玄関ドアに差し入れた手紙はそのままになっており、契約者が先週から自宅に戻ってていないことが分かりました。また、部屋のメールボックスの投函口を覗いてみますと、正月に郵送された年賀状が束になって残っていました。

 

連帯保証人に聞いてみますと、普段連絡を取り合う関係になく、状況は分かりませんでした。旅行や入院の可能性もありましたが、ここに至って、契約者の部屋に立ち入ることを決めました。

賃貸借契約書には、緊急時は契約者の承諾を得ることなく、貸主は部屋に立ち入ることができる、となっています。しかし、勝手にドアを開けた場合、住居侵入罪に問われかねないので、警察官に事情を説明し、立ち合いを依頼しました。もし室内に異常がなければ、警察官立ち合いで立ち入ったことを文書にして、室内に置いておくような対応をする予定でした。

 

このときは、大家さんが鍵を現地に届けてくれて、玄関を解錠、警察官は先に室内に入り、自分も後に続きました。

すぐに契約者が床に倒れているのを発見しました。その後は、数台のパトカーや救急車がサイレンを鳴らしながら現地に駆け付け、慌ただしい状態になりました。

新たに警察・消防の担当の方が部屋に押し寄せ、事情説明や契約者と連帯保証人の情報開示を要求されました。契約者の方は、救急車で病院に運び込まれましたが、すでに亡くなっていました。

 

検死によると、死因は心不全で、クリスマスの日あたりに亡くなられたようでした。死後3週間経過していましたが、寒い時期でしたので、遺体は腐敗もなく、部屋の汚れや異臭はありませんでした。葬儀や遺品整理終了後に、連帯保証人が家財の撤去・原状回復の費用を負担することで合意しました。

すべての対応を完了させた後は、何とも言えない脱力感に見舞われました。

医療や介護に携わる方は、人の死に立ち合うことが多いと思いますが、今後は高齢者世帯や単身者世帯の増加により、賃貸物件でも孤独死が増加し、人の死に立ち会うことが多くなってくることが想定されます。

家賃収入は不労所得と言われることがありますが、孤独死に遭遇すると、決して不労所得とは言い難いと感じるのです。

 

(著者: 青木)

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