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賃貸経営

第5回 借地借家契約の更新 

1 はじめに

通常の契約は、取り決めた期間の満了をもって終了しますが、借地借家契約の場合は、期間が満了しても原則として更新されることになります。

今回は、借地借家契約の更新に関し、基本的なルールや注意点をご説明したいと思います。

 

 

2 更新の種類

借地借家契約の更新には、合意更新と法定更新があります。

(1)合意更新

当事者の合意によって契約更新することを合意更新といいます。この場合は、更新契約書や合意書等が取り交わされるのが一般的です。

(2)法定更新

借地借家法では、当事者の合意がない場合でも、原則として期間満了とともに契約が更新される旨が定められており、これを法定更新といいます。

 

3 更新料

(1)更新料の性質

更新料は、一般に、賃料の補充・前払い、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有するものと考えられています。

(2)更新料を請求できる場合

賃借人に更新料を請求することができるのは、賃貸借契約に更新料支払特約が定められている場合に限られます。

もっとも、単に更新料を支払うとの文言だけでは、法定更新の場合に適用されるかが争いになることがあるので、合意更新か法定更新かを問わず適用される旨を明記しておくと良いでしょう。また、事業者と消費者との居住用建物賃貸借契約では、更新料の金額が高過ぎるとして、更新料支払特約が消費者契約法に反し無効とされるリスクもあります。

なお、更新料の金額について決まった基準はありませんが、借地契約では借地権価格の概ね5%前後、借家契約では賃料の1~2ヶ月分程度が多いように思われます。

(3)更新料の不払による解除

賃借人が更新料の支払義務を負うにもかかわらず支払わなかった場合に、賃貸人が契約解除できるかが問題になることがあります。裁判例の結論は分かれていますが、一般論としては、当該契約における更新料の性質や金額等に鑑み、更新料の不払が信頼関係を破壊するに至ったといえる場合は、契約解除が認められる可能性があります。

 

4 更新拒絶

上記のとおり、借地借家契約は期間満了とともに更新されるのが原則ですので、賃貸人が更新を拒絶するためは「正当の事由」が必要となります。

具体的には、賃貸人及び賃借人が当該物件を必要とする事情等を踏まえて判断されますが、「正当の事由」を充たすことは必ずしも容易ではなく、多くの場合は立退料の支払を要するとされています(更新拒絶については様々な問題点がありますので、改めて別の機会にご説明できればと思います)。

 

5 更新のない契約

一方で、期間満了をもって終了する契約(更新のない契約)を締結することも可能とされています。借地に関しては、利用目的に制限のない一般定期借地権、事業用建物の所有を目的とする事業用定期借地権、契約終了時に賃貸人が借地上の建物を買い取ることを定めた建物譲渡特約付定期借地権があります。また、借家に関しては、期間満了をもって終了する定期借家契約のほか、一定の要件を充たす場合には、賃借人が亡くなったときに契約終了とする終身借家契約も認められています。

 

6 まとめ

以上のとおり、借地借家契約の更新については様々なルールが定められています。更新料に関しては、後々のトラブルを避けるために契約書の文言や金額等に注意を要するところです。また、借地借家契約は一旦締結すると容易に更新拒絶できないため、事情によっては各種の定期契約とすることも一つの選択肢としてご検討頂ければと思います。

 

(著者:弁護士 戸門)

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