home > 協会コラム > 賃貸経営

賃貸経営

『相続税還付より簡単? ~固定資産税還付~』

◎何はなくともまずは固定資産税の縦覧から

皆さんは毎年の固定資産税とその評価額をチェックしていますか? 

私が普段、決算などでお付き合いしている地主さんは、固定資産税に対する意識が大きく3つに大別される印象です。

固定資産税の通知が届くと、

①すぐに開封して筆ごとの税額・評価額をチェックする方

②チェックはそこそこに納税通知書だけ取り出して納付に走る方

③口座振替だからと開封もせずに税理士に渡してしまう方

 

 

一概には言えませんが、最終的に残るお金が多いのは①の方です。

 

日頃から、不動産賃貸業を含む事業や家計に至るまで、しっかりと支払いを管理されている地主さんは、固定資産税についてもチェックを怠りません。チェックと聞くと何やら肩が凝りそうな作業を想像されるかもしれませんが、通知にメモを入れていくだけでいいのです。記載されている地番ごとに、自宅、駐車場、◯◯ハイツ、のように使用用途をメモし、どこにいくらの固定資産税がかかっているかを把握します。そのスタートとして一助になるのが、固定資産税の縦覧制度です。

縦覧制度とは毎年4月1日から固定資産税の第1期の納付期限まで、自身の固定資産税の評価の正否をチェックできる制度です。

これがないと計算過程がわからず、計算誤り等があってもそのまま納めざるを得なくなるのです。

 

◎97%の自治体で固定資産税の計算誤りが

少し古いデータにはなりますが、平成24年8月に固定資産税を所管する総務省が「固定資産税及び都市計画税に係る税額修正の状況」という調査結果を発表しています。

この中で平成21年から23年度における固定資産税の計算誤りにより減額または増額した例が調査団体(1,592市町村)のうち97%の1,544団体であった、という報告がありました。

同様に、平成26年9月に総務省が全国の市区町村へ通知している文書「固定資産税の課税事務に対する納税者の信頼確保について」の中では、土地について固定資産税の計算を誤っている散見例として、①非課税認定の誤り(非課税であるはずの道路敷地への課税等) ②地目把握誤り ③路線価適用誤り ④所要補正の適用誤り ⑤特例規定の適用漏れ などが挙げられています。家屋についても、①滅失家屋への課税 ②家屋の床面積の誤り ③構造把握誤り などが挙げられています。

もちろん固定資産税が賦課課税制度を採用している以上、このような誤りはあってはならないものですが、固定資産税の評価に人の手が入っている以上、自衛手段として、納税者自身が誤りに気がつき指摘するほかありません。課税団体が誤りを見つけて是正してくれるケースもないとは言い切れませんが、残念ながらあまり期待できないでしょう。

 

◎過去にさかのぼって還付を請求しましょう

固定資産税の課税誤りを発見した場合には、納税通知書の交付を受けた日から3カ月以内に市町村長や固定資産評価審査委員会に所定の届出を行い、誤りが認められれば是正されます。

また過去に過大徴収があった場合であっても、原則5年以内、市町村によっては過去10年から20年に渡って還付を受けることが可能です。固定資産税還付に関しては、税理士や弁護士、不動産鑑定士、建築士などが相談窓口を設けていますが、実際に還付の交渉ができるのは、法律で税理士か弁護士に限定されています。

また納税者本人であれば、上記の縦覧期間に関わらずいつでも自身の固定資産税の計算過程について尋ねることができます。還付を受けられるか否かは別として、まずは毎年の縦覧から、習慣にしてみてはいかがでしょうか。

 

(著者:税理士 高原)

ご相談窓口

まずは、お電話、お問い合せ・ご相談フォームより、お越しいただく日程を決めさせていただきます。
※東京近郊にお住まいの方は、協会事務所までお越しいただき、詳細に相談をお受けいたします。

お電話でのご連絡

  • 新宿本部

    03-3320-6281
  • 横浜オフィス

    045-620-3701

お問い合せ・ご相談フォームからのご連絡