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不動産売買

不動産売買時における売主、買主の責任範囲

不動産売買における売主、買主それぞれの責任と負担は明確にしなければいけません。

責任と負担とは、取引の条件として、物件の引き渡しおよび代金支払いの期日までに、やらなければならないことを誰の責任と費用負担でやるのか、ということです。言い換えれば、それができなければ売買が成立しないという条件ですので、その責任は重大です。

 

 

 

不動産売買では売主に責任を課すことの方が一般的であり、売買契約書では「売主は本物件引き渡しの日までに、その責任と負担において〇〇を完了させるものとする」という条文が入ります。

何を取引条件とするのかは当事者で取り決めますが、一般的に売主に課される条件としては土地の場合、地積を確定するための測量、土地境界標の設置、隣接土地所有者から境界に異議がない旨の確認書の取得、道路境界の証明書の取得、加えて、隣接地との地上や地下越境物の確認、また、前面道路が私道の場合は、私道所有者から、対象物件から公道に通じるまでの通行、掘削の無償承諾の取得などがあげられます。

 

これらの作業にはそれなりの時間と費用がかかりますので、特に隣接地権者など相手のある確定測量などは売却の意思決定をした段階から早め早めに取り掛かることが取引を円滑に進めるためのポイントです。

とはいっても現実には、買主が決まってから、売買契約書にこれらの条件を盛り込んで、「売主は引き渡しまでに、その責任と負担で○○を行うこと」という取引も多いのが現状です。何が良い、悪いではありませんが、そこで売主が注意すべきは、万が一、引き渡し日までに売主がやるべき条件を整えられなかった場合にどうするかです。

 

例えば、引き渡し日を延長できる、延長しても条件を整えられなかった場合は白紙とするなどといった条件を付さなければ、契約違反となり違約金や損害賠償のリスクを負うこととなります。前述した隣地に協力をお願いしなければならない地積確定測量や、共有者の多い私道の承諾などが条件になっている場合は、作業に要する期間と費用も心配ですが、円滑に関係者から同意を得られるまでは安心できません。

隣接地などの関係者が多かったり私道所有者が多かったり円滑に条件を整えられるか心配な場合は、確定測量も私道の承諾も取得せずにあくまで現状で売却するということを条件にすることも検討の一つです。当然、そのリスクや負担は買主が追うことになりますから、金額は相応に減額されることとなりますし、すべての買主がそのような条件を承諾するとは限りません。売買価格が想定より下回ったとしても、確実な時期に確実な売買代金を受け取ることを優先しなければならない場合はこのような条件も選択肢の一つです。

 

いずれにしましても売買契約書には標準的な約款があるものの、当事者に心配な事、やって欲しい事がある場合は、それを契約書に盛り込み、それぞれの責任と負担を明確にすることがトラブルを未然に防ぐ大事なポイントの一つです。

 

(著者:不動産コンサルタント 伊藤)

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