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固定資産税・都市計画税を考える

固定資産税・都市計画税(以下、「固都税額」という。)は毎年5、6月頃に「納税通知書」という形で不動産所有者のお手元に届いていると思います。

先日、ある税務の機関紙において、「固定資産税が取られすぎている」との記事がでました。2014年に過徴収によって、自宅が差し押さえられたケースが判明したことから問題となり、総務省が全国の自治体に実態を確認するよう異例の通知を出すに至りましたが、それから約10年経った今でも過徴収が発覚しているようであります。

 

 

 

一例として、固定資産税が20年間も過大に徴収されたとして、土地オーナーらが納め過ぎた税金約1億円の全額返金を大阪市に求めた裁判で、大阪地裁は原告らの訴えを退ける判決を下した。「明確な注意義務違反はなかった」として、時効5年分のみの返還を命じるにとどまったのです。

この判例からの教訓として、国が責任を認めて、間違えて徴収した税額を全額返還しないことが明るみにでたことから、固都税額が本当に正しいのか、自己責任で確認する必要があると感じております。本来であれば、国が間違えた税額を算出すること自体問題はあり、あってはならないことと思いますが、自己防衛として、固定資産税等の算出方法を勉強しておくことが重要だと思います。

そこで、今回は固都税額の算出方法について、概略を説明していきたいと思います。

 

(1)固都税額算出の基準となる価格

・・・納税通知書の「価格」に該当する部分

固都税額を算出するための土地の評価額は、「公示地価の7割」に設定されています。この土地の評価額は、3年毎に見直され、来年度の令和6年度(2024年)は評価替えの年になっています。

(2)課税標準額とは?

固都税額を算出するための基準となる価格のことです。

200㎡以下の住宅用地(自宅等)の場合を前提にお話しすると、上記「土地の評価額」が「1/6」に下げられる特例があります。よって、課税標準額は「土地評価額×1/6」により算出されます。

(3)固都税額の算出

固都税額は、「課税標準額×税率」により求められます。つまり、固定資産税は「課税標準額×1.4%」、都市計画税は「課税標準額×0.3%」で計算されて、固都税額が算出されているのです(東京都区部)。

(4)その他

固定資産税については、「負担調整措置」も考慮されています。負担調整措置とは、固定資産税評価額が急上昇した場合であっても、固定資産税の負担が急に増えないようにするための措置であり、課税標準額を徐々に増やす仕組みをいいます。この負担調整措置は、わかりにくいので以下の例題でみてみましょう。

 

【例題】

住宅用地で、令和2年度の課税標準額が1,000万円、令和3年度の課税標準額が1,500万円になったケース(※最近ではありえないですが、バブル期にはありました)。

本来であれば、課税標準額が1.5倍になっているので、税額も1.5倍になるのが通常ですよね。ただ、これだと納税者の負担が増すことから、「負担調整措置」の制度で、税額の上昇を抑えることにしたのです。

 

例題をもとにすると、負担水準は「67%(≒令和2年1,000万円÷令和3年1,500万円)」になります。この場合には、「令和2年度の課税標準額+令和3年度の課税標準額×5%」が課税標準額になると決められており、この措置が「負担調整措置」になります。つまり、例題の負担調整措置を使った課税標準額は、1,075万円(1,000万円+1,500万円×5%)となりますので、課税標準額が1,500万円から1,075万円に抑えられ、結果、固定資産税額が安くなるという仕組みでした。

 

以上が、固都税額の算出方法でした。イメージがつきましたでしょうか。

固定資産税の納税通知書に以上の数値が記載されておりますので、一度、ご自身でも計算されてみることをお勧めいたします。また、計算過程で、不明点があれば、固定資産税担当者へ、説明を求めていくことを重要かと思います。

 

  • 特に固都税額で注意した方がよい方

例えば、ご自宅等が「私道」を介して、接道されている方は、注意が必要です。つまり、当該「私道」部分が宅地部分の面積に組み込まれ、税額が算出されている可能性があるからです。当該私道部分を宅地面積から除外するには、都税事務所へ「私道部分の申請」が必要となります。

税務署が現地を確認し、私道部分があるから、私道部分を宅地に組み込まないことを、勝手にやってくれません。申請しないとダメなんです。気になる方は、当協会までご相談ください。

 

(著者:理事長 不動産鑑定士 手塚)

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