店舗ビル投資のメリット・デメリットと注意点
建物の利用用途は、都市部では主に、住宅、事務所、店舗に大別されます。更に店舗は小売店舗や飲食店舗などに分かれます。当然のことですが賃貸事業における安定経営とは、長期安定した賃料が入るかどうかが一番のポイントです。
特に飲食店舗などは人の嗜好や世の中の流行り廃りもありますので、大手企業などのように経営母体がしっかりしていない限りは長期にわたって安定した賃料収入が得られるかどうかの見通しは立てづらいといえるでしょう。
また、火器を使用することによる火災等のリスクや、経営が行き詰まって厨房機器や什器備品などを残置して退去した場合の原状回復費用などを考えても、賃貸事業のなかでは比較的リスクの高いテナントといえます。
飲食店舗以外の店舗については、それほどのリスクはないものの、生活に密着したドラックストアなどの小売店舗や生活に必要なクリニックなどの業態以外の店舗は、やはり流行などの影響は少なからず受けるでしょう。
このような事から不動産投資という視点でみますと、店舗ビルは事務所ビルや居住用マンションの集合住宅に比べてリスクが高いため利回りは高くなる傾向にあります。すなわち、リスクはあるものの、反面、それなりの利回り(賃料収入)も見込めるということが言えます。
不動産投資の対象として店舗物件を検討する際は、店舗の売り上げや経営母体の財務内容に加えて、万一の場合に備えた保証金の額や保証人の内容、店舗が加入している損害保険の補償内容などをよく確認することが必要です。
もちろん貸主としては、店舗に繁盛してもらって安定した賃料を支払っていただくことが何よりですが、繁盛している店舗は店舗でまた別の心配も気にしなければいけません。
例えばビルの修繕にともない、やむを得ず店舗の休業をお願いせざるを得なくなった場合、休業になった日数に応じて営業補償を求められる場合があります。要するに営業していれば本来得られたはずの売り上げを貸主に負担してもらおうということです。このような事を回避するためには、貸主都合によるビル修繕によって休業する場合であっても営業補償はしない旨、契約書で約束することで負担を回避することが可能となります。(ただし、賃料は求めに応じて減免に応じる必要があります)
それよりもっと大きな心配は、老朽化に伴うビルの建て替えが必要となったときに求められる立退料です。
立退料は移転費用や設備の未償却分の買取り費用などに加えて、その場所で営業することにより得られたはずの利益も営業補償として求められます。繁盛してもらって安定した賃料を支払ってもらうのは貸主として嬉しい事ですが、最後の最後でこのような費用を支払わなければならなくなる事態は避けたいものです。その為にも店舗との賃貸借契約については確定的に契約が終了する定期借家契約を活用することが結果的に店舗ビルの資産価値を維持向上させることに繋がります。ただし、店舗の営業や多額の設備投資のことなどを考えると、契約期間や保証金の設定などにもテナントへの配慮が必要です。
心配してもきりはありませんがテナントにはまず儲かってもらうことが第一ですね。
(著者:不動産コンサルタント 伊藤)


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