賃料改定をお考えのオーナー様へ
昨今、物価や人件費の上昇、建築資材の高騰などを背景に、賃貸経営を取り巻くコスト環境は大きく変化しています。
「長年据え置いてきた家賃の見直しを考えている」というオーナー様の声も弊協会に多数届いています。
しかし、賃料の値上げは借主様との信頼関係にも関わる重要なテーマです。法的なルールや実務的な配慮を欠いたまま進めると、思わぬトラブルや空室リスクを招くおそれがあります。
■ 賃料値上げには「正当な理由」と「丁寧な手続き」が必要です
借地借家法では、家賃の増額には経済的な事情(税負担の増加、物価上昇など)に基づく正当な理由が必要とされています。また、契約期間中に一方的に家賃を変更することはできず、基本的には契約更新時に借主様との合意のもと改定される形となります。
特に注意が必要なのは、「値上げを伝えたら退去されてしまった」「話し合いがこじれてしまった」といったケースです。これを防ぐためには、通知のタイミングと伝え方が非常に重要です。
■ 更新通知と同時より、事前にひと声が効果的
実務の現場では、家賃の改定を契約更新の正式通知と同時に伝えることが一般的ですが、私はそのタイミングの前に、あらかじめお知らせをするべきであると考えます。
これは、借主様側にとって心理的な準備期間を与えることができ、結果的にトラブルの発生リスクを下げることに繋がるためです。
例:「次回の契約更新に際して、賃料の見直しを検討しております。正式なご案内は後日お届けいたしますが、ご理解のほどお願いいたします。」という内容のお手紙を発送する
このようなひと言を更新の3~6ヶ月前に伝えることで、借主様も冷静に判断・相談ができ、結果的にスムーズな合意に至ることが多くなります。
■ 適切な値上げのために
賃料の改定を行う際には、以下の点も意識しておきましょう。
・近隣相場とのバランスを確認する(成約賃料ベースで)
・増額の理由を明確に伝える(維持管理費上昇、設備の改善など)
・小規模な改善やサービス追加とセットで提案する
・急激な増額ではなく、段階的な調整も検討する
■ まとめ
これからの賃貸経営において、賃料の見直しは「必要な判断」であると同時に、「丁寧な進め方」が求められる局面です。形式的な通知だけでなく、借主様に配慮したコミュニケーションを心がけることで、空室リスクや関係悪化を回避しながら、安定した賃貸運営を実現できると考えます。
(著者:鈴木)


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