区分所有法大改正について
近年、築年数の古いマンションが全国的に増えています。
一方で、所有者の高齢化や相続問題、空き家化も進み、「マンションをどう維持していくか」が大きな社会問題になっています。
実際に、老朽化した外壁に危険があっても総会決議がまとまらず修繕できない、所有者と連絡が取れず管理そのものが止まってしまう、といったケースも増えてきました。また、相続が発生したものの名義変更が行われず、誰が所有者なのかわからなくなってしまう事例も全国で増加しています。
こうした状況を受け、2026年4月に区分所有法が改正施行されました。今回の改正は、「何も決められないマンション」を減らし、必要な修繕や再生を進めやすくすることが目的です。
特に大きく変わったのが、総会決議のルールです。
これまでも多くのマンションでは、議決権総数の過半数の出席(委任状や議決権行使書を含む)によって総会を成立させ、普通決議は出席者の過半数で行う運用がされていました。しかし、所有者との連絡が取れないケースや、総会への出席・委任状の提出・議決権行使のいずれも行われない区分所有者が増えると、必要な決議が進みにくいという課題がありました。
改正後は、総会へ参加した区分所有者を基準として決議を行いやすくなりました。ここでいう参加には、会場出席だけでなく、委任状や議決権行使書による参加も含まれます。
つまり、「実際に意思表示をした人たち」でマンション管理を進めやすくしたのです。
また、所在不明の所有者についても、一定の手続きを経れば決議人数から外せる制度が整備されました。相続放置や空き家化が進む時代に対応した改正と言えます。
さらに、老朽化マンションで問題となっていた「工事が進まない問題」にも対応しています。外壁落下など危険がある場合や、バリアフリー工事などについては、以前より少ない賛成数でも工事を進めやすくなりました。
建替えについても見直され、耐震性不足など一定条件を満たす場合には、従来より少ない賛成数で進められるようになります。また、大規模リノベーションによる再生や、建物を解体して土地ごと売却する制度も整備されました。
今回の改正の背景には、マンションが「建てる時代」から「維持し続ける時代」へ移行したことがあります。高度経済成長期から平成初期にかけて大量に供給されたマンションの多くが築40年を超えつつあり、今後は大規模修繕や設備更新、さらには建替えの検討が必要なマンションが増えていくと考えられています。
しかし、所有者の高齢化や賃貸化の進行により、管理組合の担い手不足も深刻化しています。そのため、必要な意思決定を適切に行える仕組みづくりが求められていました。
つまり今回の改正は、「古くなったマンションを、現実的にどう維持・再生していくか」という時代の課題に対応したものと言えます。
一方で、決議が成立しやすくなるということは、関心を持たないままでいると、自分の意向と異なる方針が決定される可能性も以前より高くなるということでもあります。
特に、投資目的で区分所有マンションを所有されている方の中には、これまで総会資料を十分確認せず、委任状のみ提出していた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、マンションの価値は建物の状態だけでなく、管理組合が適切に機能しているかどうかによっても大きく左右されます。管理への無関心は、結果として資産価値の低下につながる可能性もあります。
今後は、マンションの方向性が以前よりスピーディーに決まる時代になります。だからこそ、総会資料を確認し、可能な範囲で総会へ参加し、議決権を行使することが、これまで以上に大切になるのではないでしょうか。
(著者:見留)


03-3320-6281
