今年で29年目を迎え、賃貸経営に関する専門家の解説や、行政ニュース、セミナー開催情報など、お役に立つ情報を掲載しております。
東京都、神奈川県などの各市町村をはじめ、首都圏主要都市の行政担当部署にも配布させて頂いております。
税制改正 令和3年 (フジ相続税理士法人 高原誠)(2021.02)
今年の税制改正を概観すると「短期的なコロナ禍支援は引き続き実施、中長期的には産業構造の変化の促進を」というところでしょうか。
昨年末発表の政府の税制改正大綱をベースに、読者の皆様に関係が深そうな項目を中心に見ていきます。
コロナ禍でダメージを受けた経済を復興させるため、誰もが影響を受けるような大幅な増税項目はメニューに並んでいません。
コロナ禍における働き方改革の進展を受けてか、デジタルトランスフォーメーション(DX)促進や脱炭素化を中心とした産業構造の転換に軸が置かれています。一部、資産税分野では増税的な動きも加わりました。
1.個人所得課税
◎住宅ローン控除の特例の延長等
①住宅ローン控除および控除期間を13年に拡大する特例の適用期限(入居期限)を2022年12月31日 まで延長。ただし、注文住宅は2021年9月30日、分譲住宅は同11月30日までに契約したものが対象です。
②対象物件の床面積要件を「50㎡以上」から「40㎡以上」に緩和。ただし「40㎡以上50㎡未満」については所 得制限があります(合計所得金額 1000万円以下)。
また、低金利(年利1%未満)で住宅ローンを組んだ場合、支払利息以上に税額控除が受けられるケースが散見されることから、来年の税制改正において控除額を見直す方針が明記されています。
◎セルフメディケーション税制の見直し
対象となる医薬品を見直した上で適用期限を5年延長。2022年分の所得税より適用開始です。
◎国や地方自治体の実施する子育てに係る助成等の非課税措置
ベビーシッターや認可外保育所を利用して地方自治体等から助成を受けた場合、従来は「雑所得」となり所得税等が課税されていましたが、これを非課税とする措置です。
◎退職所得課税の適正化
これまで法人役員等でない従業員の退職金については勤続年数に関わらず2分の1課税の適用がありましたが、雇用の流動化等に配慮し、勤続年数が5年以下の従業員の退職金については、退職所得控除額を控除した残額のうち300万円を超える部分について、2分の1課税の適用が廃止されます。
続きは本誌にて…