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和楽(会報誌)

「和楽」はオーナー様向けに毎月発行している会報誌です。
今年で29年目を迎え、賃貸経営に関する専門家の解説や、行政ニュース、セミナー開催情報など、お役に立つ情報を掲載しております。
東京都、神奈川県などの各市町村をはじめ、首都圏主要都市の行政担当部署にも配布させて頂いております。

弁護士に聞く、高齢者の立ち退き事例(2023.04)

【4月号対談者】

馬車道法律事務所

神奈川県弁護士会

弁護士 松浦ひとみ様

弁護士 石畑晶彦様

今月号は、協会でご相談を受けた立退き案件について、ご担当された馬車道法律事務所 松浦ひとみ弁護士および石畑晶彦弁護士に伺います。賃借人のご相談ですので、会員の大家さんにとっては逆の立場になりますが、とても参考になると思いますので、ご一読下さい。

【立ち退きを迫られた90代後半の高齢女性】

関口)私達協会は、9年前から、神奈川県居住支援協議会より「住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅等への入居支援事業」を受託し、高齢者や障がい者、ひとり親世帯など、賃貸住宅をなかなか借りることが難しい方達のご相談を受け、物件探しのお手伝いをしております。中でも、高齢者のご相談は全体の約77%を占めており、高齢化社会が進む中、高齢者の住宅問題は益々大きな課題になっております。

今回、対談で取り上げるのは、90代後半の高齢女性の立ち退き問題です。

問題の諸経緯から弁護士案件だと判断し、松浦先生、石畑先生にご相談させて頂きました。松浦先生には、以前も大家さん側の案件を依頼したことがあり、大手建設会社を相手に即決解決した経緯があります。

今回のご相談の概要を、松浦先生からご説明頂けますでしょうか。

 

松浦) ご相談者は90代後半の方で、私の経験からも最高齢の立ち退き案件でした。30年以上住んでいたアパートの大家さんが分譲住宅を販売する不動産会社にアパートを売却し、新しい大家さんになった当該会社から、建物の老朽化のため退去して欲しいと突如言われビックリ、引っ越し先は見つからず、途方に暮れている状況でした。以前の大家さんは、困っていると色々と世話をやいてくれる親切な方でしたが、物件を売却されたことで、高齢で頼る人もいなくなり心細くなって、立ち退きの合意書にもサインをしてしまい、追い込まれた弱い立場にありました。

続きは本誌にて…

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