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和楽(会報誌)

「和楽」はオーナー様向けに毎月発行している会報誌です。
今年で29年目を迎え、賃貸経営に関する専門家の解説や、行政ニュース、セミナー開催情報など、お役に立つ情報を掲載しております。
東京都、神奈川県などの各市町村をはじめ、首都圏主要都市の行政担当部署にも配布させて頂いております。

会員様の難問・難題 解決事例 ~大地主さんの貸地問題・事業承継~(2020.12)

【対談者】

戸門法律事務所

代表弁護士 戸門大祐様

司法書士わせおい事務所

代表 大谷雅彦様

今月号は、実際のご相談の解決事例をご紹介します。

弁護士の戸門大祐先生、司法書士の大谷雅彦先生、そして協会の関口祐輔理事に伺いました。

 

手塚) 今回のご相談者Aさんは、都内に住む古くからの地主さんです。90代のお父様から資産管理を引き継いで、資産の整理をしていたところ、色々な問題が発覚し、相談に来られました。相談内容別にお伺いします。

 

【相談① 30年以上不法占拠されていた土地をどう対処するか】

手塚) まず弁護士の戸門先生にお伺いします。

お父様から貸地の管理を引き継いで、その整理をする中で、30年以上、お父様の土地を不法に占拠されていたということですが、概要を教えて下さい。

 

戸門) Aさんは元々この一帯の土地を所有する地主さんです(図参照)。

 

昭和30年代にこの一帯の土地を切り売りして、「黒の部分の土地」をBさんに売却し、Bさんはここに建物を建てて居住していたのですが、この隣の「斜線部分」が切り売りする中で残地として残っていたことが4~5年前に分かりました。実際は、Bさんが庭として使用しているにも関わらず、土地の名義はAさんで、固定資産税もAさんが払っているという状況です。Bさんに引き取ってもらうのが筋ですが、Bさんは黒の部分の土地を買った時に、隣地も追加で買ったと主張。なぜその時に登記してくれなかったんだという言い分です。一方で、Aさんには売ったという認識はありません。

 

手塚) Bさんに引き取ってもらうには①譲渡(売却)、②贈与、③時効取得の3つが考えられるわけですね。

 

戸門) 当初は、ただで差し上げる(贈与)と言う提案をしていたんです。贈与税はかかりますが、時価で数百万円の土地を無料で貰えるのなら応じて頂けるだろうと。ところが、Bさんは、昔買ったのだから、その時の売買に基づいて登記をしてくれと主張するのです。

続きは本誌にて…

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