今年で29年目を迎え、賃貸経営に関する専門家の解説や、行政ニュース、セミナー開催情報など、お役に立つ情報を掲載しております。
東京都、神奈川県などの各市町村をはじめ、首都圏主要都市の行政担当部署にも配布させて頂いております。
民法改正のポイント! 地主さん、家主さんが注意すべきことを再確認(2021.01)
明治29年制定の民法が120年ぶりに改正され、2020(令和2)年4月1日に施行されました。
施行後、約9か月が経過しておりますが、民法改正で地主さん、家主さんが知っておかなければならないポイントを海谷・江口・池田法律事務所の弁護士 江口正夫先生に伺います。
江口先生は借地借家法関連の著書を多数執筆され、借地借家法に精通している先生です。当協会の顧問でもあり、過去にセミナー講師もして頂きました。
【改正民法のポイント①「敷金の明文化」について】
手塚) 本日は、お時間をいただきありがとうございます。早速ですが、改正民法の不動産関連のポイントについて、ご教示ください。まずは「敷金」についてお願いいたします。
江口) 改正前の民法では、「敷金」について定めがありませんでした。今回の改正において、初めて「敷金」が定義されました。地主さん、家主さんが普段から認識している「敷金」を明文化しただけですので、実務的にはほとんど変更はありません。
【改正民法 第622条の2(敷金の定義)】
「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう」
また、気をつけなければならないポイントして、ビルなど商業用として賃貸している場合です。例えば、店舗を借りている方が、借家権を居抜きで譲渡することがあります。その際に、テナントがオーナーに預けていた保証金や敷金を借家権と一緒に譲受人に譲渡することを合意しない限り、オーナーさんが旧テナントに敷金や保証金を返還しなくてはいけないことが明記されました。店舗の保証金・敷金は高額なことが多いですから、オーナーさんはその保証金・敷金の返還を準備する必要があるのです。判例理論を明文化したもので、改正前と変更はありませんが、このケースは、あまり知られていなかったことではないでしょうか。
【改正民法のポイント②原状回復の明文化について】
手塚) 続いて、原状回復の明文化について解説をお願いします。
江口) 原状回復については、過去、様々な判例が出ていますので、それらの判例理論を法律に明文化したことになりますが、知っておくべきポイントがあります。
続きは本誌にて…